指先が覚えている

ぼんやりと 煙草を燻らす
左手の中指に嵌められたリングが
鈍い光沢を放つ


 指先が覚えている


愛しい人の 首筋を滑り
うなじを掻き分け
黒髪の狭間から覗く
白い柔肌に浮かぶ 耳を撫でる

唇を寄せ 愛しい人にしか発さない
ふたりだけの暗号を 囁く
魔法を掛けるように

くねる艶めかしい肢体を
両のかいなで抱き寄せる

きつく それでいて
壊してしまわないように

溶け合って
ひとつになってしまうように──

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確定要素「絶対」

世の中に「絶対」は「死」しか存在しない。

その他のことは、非道く曖昧模糊な蹌踉めきのイリュージョン。
「諸行無常」が其処彼処に点在している。

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Spiral Rendez-vous

時の刻みは 皆に等しく 降り注ぐ
シビアに 冷徹に 弛まず 一定のビートで

時の歯車は 誰にも御せない
ただ 密度 だけは 自由

時の濃淡を 愛しい人と 一緒に 描く
デッサンが狂っていても 構わない

甘く切ない時が 緩やかに流れる

唇と唇を 重ね合わせるだけで
彩りが ふたりだけの空間を支配する

俺の 愛しい人
俺だけの 愛しい人

「永遠」と云う言葉は 余りにも陳腐過ぎて

だから「ずっと 一緒」──


DNAが螺旋状に絡み合っているように

ふたりは ひとつ
ふたりで ひとつ

決して ほどけることなく
互いに 抱き合っている

Spiral Rendez-vous

脳髄から神経繊維に至るまで

Spiral Rendez-vous

絡み合って 溶け合って
スパイラルに ずっと 一緒──

俺の 愛しい人
俺だけの 愛しい人

___ spelt by vincent.

美しい者の傍らにて

大きなこと 小さなこと
そのどちらでもない

やりたいことをやる

理由は ひとつ

やりたいから

義務や焦燥は 何処吹く風ぞ
一番でも ビリッケツでもない

気高く 美しい


孤高とは
依ることでも 依らせることでもなく
気高く 美しく 存在するだけ

何を見せ 何を聞かせ
何を感じさせるか──

それは自分以外の人格が決める
本人の与り知らない部分で
勝手に ひとり歩きするもの

本人のやることは ひとつ

自身を制御する だけ


大きなこと 小さなこと
そのどちらでもない

やりたいことをやる

理由は ひとつ

やりたいから

義務や焦燥は 何処吹く風ぞ
一番でも ビリッケツでもない

気高く 美しい


ただ ひたすらに
真摯に 愚直に 真っ直ぐに
風の吹くまま 気の向くまま

自身の魂の命ずるまま

我が魂の命ずるまま──

___ 女神棟にて

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不思議な感覚

今までの人生で 味わったことのない感覚
不思議な感覚だ──


実体は 目の前にあり
紛れもなく 現存しているのだが

 圧迫しない

他に 何かしらの影響を
及ぼさない訳ではないが

 窮屈ではない

夢と現を彷徨っているような
それでいて
秩序だったカオスを ロジカルに──

控えめでもなく 横柄でもなく
存在を主張する


「非現実を抱く」


もしかしたら
これが「超現実」というものかも知れない

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Mobile phone

現代人の必携ツール 携帯電話
ビジネスライクに考えれば 無味乾燥

繋がっていたい と 離れてしまいたい

矛盾 乱気流 感情のハリケーン
一喜一憂の美学


不在着信あり 未読メールあり
気付いたときに 着歴を見 メールを読み

「何の用やぁ ったく」と
「あぁ ゴメンよぉ…」

矛盾 乱気流 感情のハリケーン
一喜一憂の美学


携帯電話が不携帯電話のときでも
俺は いつでも 君と繋がってるよ

魂のMobile phoneは 君だけのために──

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包括する

幾千 幾万の偶然から ひとつの必然を紡ぐ
世の中に偶然は 存在しない すべて 必然

この大いなる矛盾を
包括する

括るのではなく
包括する

ソフトに スウィートに──

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括らない

プライオリティやランキングの重要性──
重要であることは確かだが

括らない 敢えて 括らない

ボーダーを引くことによって
ボーダーに呪縛される

呪いを解くカギは 自身の内面に眠っている

キッカケなんて 何でも いいんだよ
気付いてしまったんだから しようがない

「きっといつかは…」を「たった今」に──

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Sweet whisper

受話器から溶け出すように洩れる
耳をくすぐる 甘い 甘い囁き

ときに嬉々とし ときに悩ましく
柔らかい毛布に くるまりながら

切なくて もどかしい 時間が過ぎてゆく


眠ることさえ 惜しみながら
切るタイミングを 探しあぐねながら
甘い囁きと 甘い吐息が 絡み合う

聴覚だけが頼りの ふたりだけの空間
甘い囁きと 甘い吐息で 紡ぎ出す


Sweet whisper


君だけに 囁きたい──

___ spelt by vincent.