マイナスの美学

思い思いの方角へ散らばり
それぞれの轍を刻みながら

肉を食み
泥を食み

再び この地に舞い戻る

「何か良いものは持って来たかね?」
「これなどいかがでしょう?」
「なかなかだ。置いて往きなさい」
「では──」

余計なものを棄てる
渡すのではなく 棄てる
あっさりと──

そして 再び 歩き出す

思い思いの方角へ散らばり
それぞれの轍を刻みながら──


マイナスの美学

飽和する前に 飽食を諌める
飽食に感謝し 飽和を棄てる

___ spelt by vincent.