11月に移り住んだ部屋の解約手続きに向かった。部屋を決めるときはふたりだったが今日はひとりだ。
年の瀬の喧噪と雑踏をすり抜けながら、ああ、2003年も残すところ後僅かだなぁ、と感じていた。初冬の冷たい風がやけに頬を突き刺す。
不動産事務所で淡々と事務手続きを済ませると、商店街から流れるメロディが耳に飛び込んできた。
Silent night, Holy night...
ああ、今日はクリスマス・イヴか… 買い物客や人混みを避けて、固いアスファルトを踏みしめた。家路に向かう足取りは非道く重かったが、不思議と悲観的な考えは生まれなかった。