新たなルールを書いた紙を、人知れずそっとテーブルの上に置いてゆく神がいる。
どんなに理不尽で不条理な内容であっても、それが絶対的な掟となり、もし破ればその者の身に様々な危険が及ぶという。
或る男のもとにそれが届いた。
「実際、参ったぜ…」
「何が?」
「おきてがみさ…」
「置き手紙? 何だよ。『探さないでください』ってか? そりゃ『全力で探してくれ』ってメタファーさ。お前も隅に置けねえな」
「茶化すなよ。そんなじゃねえよ…」
「じゃ何だよ。柄にもなく深刻な顔しやがって」
「掟神さ…」
「掟神? 何だよ、そっちなのか?」
「ああ…」
「マジか、そりゃツイてねえな…」
「実際、参ったぜ…」
「気の毒にな…」