2005年6月 アーカイブ[7]

明かり

樹々が鬱蒼と生い茂った森の
漆黒のアウトライン

森に棲んでいるであろう生命の息吹は
なりを潜める

驚くほどの静寂が 辺りを覆い尽くす

夜空には星はひとつもなく
月明かりさえ 黒い雲に遮断されている

光源はひとつ

真っ暗闇の中 一筋に伸びた畦道の先に
ぼんやりと燈る 明かりだけ

ゆらゆらと 不安定に 揺れ動く
目に優しい 温かい 明かり

今にも 消え入りそうに
ゆらゆらと 明滅する


そんな中 ひとり 立ち尽くす

ゆらゆらと揺れる唯一の光源を
ぼんやりと 眺める


風が 頬を 撫でる
風が 頬を 撫でる

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心地好い絶望感

抵抗 逃避
そんな 希望 願望 を抱くことすら
脆く 儚い 叶わぬ 幻想

陳腐な 期待は
頭の中に想い描くだけで 無謀


ただただ 目の前に 立ち尽くすだけ


手を伸ばせば 届く距離にいるはずなのに
手を伸ばすことすら 儘成らず

自然に溢れ出す涙には
感情すら 篭っていない


ただただ 目の前の存在に
立ち尽くすだけ


絶望感
悲観的な絶望感ではなく
心地好い絶望感


助かる可能性が
ひと欠片も残されていないことに
何の疑問すらも 抱かず

底の無い 真っ暗闇の湖へ
徐々に 飲み込まれてゆくような


ただただ 堕ちてゆく
音もなく 静寂に包まれながら

ただただ 堕ちてゆく


それが 真の絶望感
心地好い絶望感──

___ spelt by vincent.

流離いの夢追い人

絶望と 希望とを 胸に抱き
それでも 進み やがて 朽ち果てる

旅を始めた時点で 終息を知りながら
空虚と 悲愴とを 携えて

流離いの夢追い人は
夢を 追い続ける

彷徨することが 宿命
命が宿る限り 進む
進み続ける──

其処に「純粋な愛」が 在るから…

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波紋

灰色の空から叩きつける 無数の水滴が
池の水面に 小さな無数の王冠を 踊らせる

その王冠から 無数の波紋が
無数の円を描きながら
互いの周波数を発するように拡がる

一定のリズムを保ちながら
時には 優しく 時には 激しく
秩序だった混沌を呑み込みながら

池の水面を埋め尽くす 無数の波紋は
互いに重なり合い 溶け合う
互いに貪り合うように
互いに殺し合うように

それが 当然至極 自然の摂理


そして 輪郭を 緩やかに 暈かす


解らないことは 解らないままで良い
輪郭を 緩やかに 暈かせば

それが 当然至極 自然の摂理


波紋を眺めながら

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