「“自分を律する”って言葉があるだろ?」
「ありますねぇ、何だか堅っ苦しい…」
「なぁに、堅っ苦しく考えるから堅っ苦しくなるだけで実は何てことねえのさ」
「そういうもんですかねぇ…」
「ゲームなんかでよ、AボタンだのBボタンだのがあるだろ?」
「ありますねぇ」
「そんなと一緒さ。こんなときはAボタン、あんなときはBボタン、てな具合によ」
「あそっか、“自分をコントロールする”ってことですもんね?」
「そそ、そーゆーこと」
「でも、それがうまくできないから“自分を律せよ”なんて咎められる訳で…」
「まぁな、誰もがいい感じのタイミングでコンボ発動できる訳じゃねえしな」
「ですよねぇ」
「だから普段から練習しとけばいいんじゃねえかな?」
「例えば?」
「“こんなときはAボタン”ゆー“こんなとき”を想定すんのさ」
「なるほど… “こんなとき” んー… えっと、どんなときですか?」
「何だよ、んなこたぁ自分で考えろよ… やぁ、今みたいなんも“こんなとき”に入るんじゃねえのか?」
「え、どーゆーことです?」
「“急に難問出されたとき”」
「ああ…」
「ん、どうした? 急にピョンピョン跳ね出して」
「練習してるんですよ」
「何の?」
「自分を律する」
「で、跳ねてる、と」
「そうです」
「何、お前の場合、急に難問出されたらカエルみたいに跳ねる、と?」
「ZRボタンですね」
「それで何か解決すんのかい?」
「特段」
「意味ねえー、そりゃ練習方法変えた方がいいぜ」
「何でですか?」
「ボタンの掛け違いや…」←