心温まる手紙になりたい。
どんなに遠く離れていようとも、
僅かばかりの切手代さえあれば、
割高な旅費を掛けず遠くへ行ける。
夢にまで見る焦がれるあの人の傍らへ。
郵便制度は懐に優しい。
心温まる内容ならば破り棄てられることもない。
事ある毎に、都度、読み返されたりもする。
そして、一時であれ、その人を占有せしめられる。
曖昧に暈かされた色彩と輪郭の滲んだ世界。
前世の記憶を、手探りで手繰り寄せる。
鋭利な刃物のように深く突き刺さり、
それでいて柔らかく染み渡るような──、
そんな心温まる手紙に、僕はなりたい。