キモいな、お前

「だーかーらー! さっきから何べんも同じこと言ってんじゃん!?」
「何べん言われようが分かんねえもんは分かんねえんだよ!」
「どうして? こんなことバカでも分かるぜ!?」
「じゃあ、俺はそれ以下ってことか!?」
「ったく、どーしょもねえな、お前って奴ぁ…」
「ああ、どーしょもなくて悪かったな!」
「それほど難しいこと言ってるつもりもないぜ? ちったあ俺の話も聞けよ…」
「するってえと何か? お前さんの話聞きゃ何でもかんでもキレイに解決するんか?」
「やぁ、そうは言ってねえけどよ…」
「そりゃそうだろうよ。一体何様のつもりなんじゃ? 手前の話聞くだけで何でもかんでも丸く収まるんやったら天下泰平、万々歳。世界は愛と平和で満ち溢れているだろうよ。違うか?」
「違わねえよ…」
「せやろ? 俺様の時間をなんで手前の戯れ事で消費せにゃならんのや?」
「お前、トコトンひん曲がってやがんなぁ…」
「何や? ハム太郎か?」
「そりゃ、とっとこ」
「どーでもえーわい」

「でも、ちったあ落ち着いて俺の話も聞けよ」
「おう、オモロイ話せえよ」
「オモロイ話て… お前、相談しに来たんじゃねえのか?」
「相談? 何それ美味しいの?」
「マジか… 骨折り損はこっちのほうやんか…」
「骨くっつくまで待ってやるよ。優しいやろ?」
「何じゃそら… お前、そんなで大丈夫なんか?」
「誰が誰の心配しとるんや? 至って健康優良児だが?」
「優良児て、子供か… や、お前友達おらんやろ?」
「何でそんなこと訊くんや?」
「やぁ、こんだけねじ曲がった奴も見たことねえしな…」
「ほう、唯一無二やな?」
「そんないいもんじゃねえよ、アホか…」
「バカだのアホだの… お前クチ悪いなぁ〜」
「どのクチが言ってるんだ? ダルいわぁ…」

「──そんなことないぜ?」
「は? 何の話だ?」
「俺にも友達は居る」
「ほう、それはそれは。是非お会いしたいものだね」
「目の前に居るじゃないか」
「え?」
「俺の友達はお前さ」
「──!?」
「どうした? 急に涙ぐんで」
「やぁ、何だか無性にお前が愛おしい存在に思えてな…」
「え、何それ? 俺?」
「ああ… 何だか全身全霊ものすごく大事にしなくちゃな、って…」
「──」
「どうした? 急に黙り込んで」

「キモいな、お前…」

___ spelt by vincent.