「あのなぁ。心だとか気持ちだとか想いだとか──
そんな見えねえモンを大事にする前によ、見えてるモンから大事にせえよ。
いい加減にしとかねえと終いにゃブン殴るぞ、手前」
「兄貴。云ってることがちょっと…」
「ちょっと、何だ?」
「可笑しいんじゃないかと…」
「何だよ。可笑しかったら笑えよ」
「や、そうじゃなくて…」
兄貴は弟分からフッと視線を落として背を向けた。
「粗末に扱うなってこった。命を粗末に扱うな」
「兄貴…」
「オラ、もう行くぞ。グズグズしてっと張っ倒すぞ」
「…て、だから兄貴ぃ。俺のこと見えてねえんスか? ちょっと待ってくださいよぅ」
『手前なんざ見てねえさ』
兄貴の背中はそう語っているようだった。
弟分よ。
君の行く末、この先が
細く長く続くのか
太く短く終わるのか──
それは君の気持ち次第だ。
悟りよ。幸いあれ。
そんな感じで♪
*2018.05.10・草稿