「余はこの世に生を授かった瞬間から既にこの世を統治するために存在するのだが、どうにも最近いかんせん芳しくない…」
狭い箱の中で皇帝が呟いた。
「何なりと懺悔なさい」
箱の奥から声だけが響く。
2006年10月 アーカイブ[7]
皇帝は諭すのがお好き
「これ、そこを往く平民よ。余を皇帝と呼ぶことを許可する」
眉を顰めた青年がはたと立ち止まり、皇帝に視線を向ける。
「は? えっと、僕に云ってるんですか?」
皇帝は顎髭を撫でながら表情を曇らせた。
寂寥感 - 大事な妖精
しばし棚上げして、今は自分と向き合おう。
「僕が居なくても大丈夫」
「わたしが居なくても大丈夫」
否、
「あなたが居た」
溶け入るように自然だ。何の矛盾もない。
陳腐な妄想は払拭された。
ありがとう。僕の大事な妖精──。
背徳感
パブリックな場での破廉恥な行為。
いけないことだとは知りつつも…
やめられない。とまらない。
左脳と右脳がうまく機能しないんだ。
俺の世界では「必然」──。
源泉から湧き水が滾々と湧き出すように、
止め処なく次から次へと溢れてくるように…
華奢な身を捩らせ、快感に歪む妖精の苦悶の表情が、
たまらなく愛おしい… 狂おしいんだ……
潤んだ花園が 甘美な馨りで 満たされる
そうすれば 空洞も 少しは 満たされる
そんなデタラメな空想が、
そんな思い上がった妄想が…
逆巻く感情と理論のトルネードが、
灰色の脳細胞を掻き乱すのさ
そして、自然に…
自然に、指が、躯が、動いてしまうのさ
俺の世界では尤もらしい理論が
──背中を押すのさ
ゆっくりと、じっくりと
女の悦びを調教したい。