会話は要らない。
凍り付くような静寂の中で
縋り付くような視線を絡め合うだけ。
視覚と聴覚を秤に掛ける訳ではない。
視覚だけで十二分に情報は伝わる。
such a lonesome night
深い渓谷 届かぬ慟哭
苛立つ時刻 刻一刻
眩しい光明 言い得て妙
虚偽 狡猾 巧妙の天使
巡る繰りごと 無限ループ
脆く儚き欠片 頽廃の美学
希望と云う名の 妖精
縋り付いて来た 幻想
救済を望む 魂の叫び
妙に 白々と 空々しい
I pray for my pixie.
「さよならを云うのは少しだけ死ぬこと」
──確かフランス人の言葉。
蘇るのに僕は不要。邪魔なだけだ。
僕にはそう感じられたんだ。
いろいろ難しいかも知れないが、
優しさなりが伝わっていれば、
僕はそれだけでも嬉しい。
陰と陽
僕はデタラメな男だ。
「デタラメ」とは漢字を当てると「出鱈目」と書く。語源はサイコロ博打などの博打用語からだ。
出た目。
「鱈」は語感を良くするために添えられ変化したもの。デタラメとはこのことを差している言葉だ。
投げられた賽の目は誰にも予測できない。出た目がその世界を支配する。
だからこそ博打として成立するのだ。誰でも予測可能であればそれこそ「鉄板」。
これは競馬用語だが「銀行レース」などとも云われる。単純に「堅い」と云うことだ。
そうなることがおおよそ確実である、と予測されている状態。その「期待」はおおよそ外れることはない。
だが、鉄板であっても外す場合がある。これがギャンブルの世界を支配する「根底的な不条理」。この世界観は一般日常にもそのままスライドする。
日常とは不条理を掻い潜る奇跡の連続。
このように換言することもできよう。生きると云うことが、それだけで「奇跡」なのだ。特別に華々しいことを求める必要はない。
救世主
優秀な心療内科医には
更に優秀な心療内科医が必要だが、
救世主は救世主を欲さない。
そして、ヒーローは縋らない。
銀色の翼
形を持たぬ 透明な欠片たちが
紫煙に揺られながら 虚空を彷徨う
浮かんでは消え 消えては浮かぶ
幾星霜 経ったのか──
静寂に包まれた 深紅の海を抱く
透明な闇
独り静かに 銀色の翼を 研ぐ