会話は要らない。
凍り付くような静寂の中で
縋り付くような視線を絡め合うだけ。
視覚と聴覚を秤に掛ける訳ではない。
視覚だけで十二分に情報は伝わる。
他人の言い訳が好きだ。
望まぬ結果について、あれこれ垂れ流す。
そのときの表情は
お世辞にも美しいとは云えない。
不細工はそもそも不細工だが、
工作を施そうとしているときのそれは
更に拍車を掛けて不細工だ。
そんな対極に触れると、
悦に入り、同時に辟易とする。
会話は要らない。
凍り付くような静寂の中で
縋り付くような視線を絡め合うだけ。
瞳の奥に宿る光を捉えれば、
言葉は邪魔なだけだ。
唇から洩れ出す音声は
紡ぎ出したいときにだけ紡げばいい。
自然に洩れ出す音声が
快楽を哀願する喘ぎ声であったならば、
そっと手を伸ばし、触れるだけだ。
そして、ゆっくりとゆっくりと、
絶頂に導いてやればよい。
意味のある言葉。
意味を持たせようとする言葉。
──どれも陳腐で滑稽だ。
言葉に意味はない。
そして、何の効果もない。
だが、敢えて叫ぼう。
喉が裂けるほどきみが欲しい。
破壊的にすべてを包み込みたい。
俺を恍惚に酔わせてくれ。
虚無と孤独だけが寄ってくる自身に
せめてもの一流の自慰行為を──。