硝子細工

硝子のような人──。

或る人から、そう称された。
それも肉厚の硝子ではなく、クリスタル硝子のように薄いのだ、と。

爪で弾くと、硬質な音が響く。

或る者にとっては耳鳴りにも似た不快感。
また或る者にとっては宇宙の深遠から届く超音波シグナル。

強い衝撃を受ければ、ひとたまりもない脆く儚い繊細な表皮。

砕け散った破片──硝子の傷口は鋭く尖っている。無闇矢鱈むやみやたらに触れた者は、その傷口に鮮血を注ぐことになるだろう。

危険だから大事に扱ってな?


──と、そんなひとコマが脳裏に浮かんだ。

___ spelt by vincent.