元服と裳着

元服(げんぶく、げんぷく)とは、平安時代以降、公家・武家の間で行われた男子の成人式という通過儀礼である。加冠(初冠)ともいわれる。

12~16才の男子が成人したことを表すために行われ、氏神の社前で大人の服に改め、総角(角髪(みずら))と呼ばれる子供の髪型を改めて大人の髪(冠下の髻(かんむりしたのもとどり))を結い、烏帽子親により冠をつける(公家、及び、平家系の武家では、厚化粧、引眉にお歯黒も付ける、源氏系は付けない場合が多かった)。

それまでの幼名を廃して烏帽子名(元服名・諱)を新たに付ける。室町時代以降は民間にも普及した。

民間においては褌親(へこおや)の元で、初めてふんどしを付け、性に関する知識を授かる。

なお、貴族の女子の成人式は「裳着(もぎ)」という。

江戸時代以降は女性も元服と称し、結婚と同時に、未婚でも18~20才くらいで行った。

女性で元服という場合は、地味な着物を着て、日本髪の髪形を丸髷、両輪、又は先笄に替え、元服前より更に厚化粧になり、鉄漿親(かねおや)によりお歯黒を付けてもらい、引眉する。

お歯黒を付けるが引眉しない場合は半元服と呼ばれた。

半元服の習慣は現在でも祇園の舞妓、嶋原の太夫等、一部の花街に残る。

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