ラプソディとエレジーのランデヴー。
歯痒い心地好さに脳天が痺れる。
不可解にKISSすると、
刹那の海に溺れることを厭わない。
馬鹿は何度死んでも治らない。
だから、うまく付き合うしかない。
付き合い方が覚束ないから、
だから……
ラプソディとエレジーのランデヴー。
救われないのならば救われない。
求める情熱を埋葬して──。
ラプソディとエレジーのランデヴー。
我が魂の命ずるままに──。
シャイな情熱をアルコールで稀釈して
「一杯飲むといいわ。グラス持たないと喋れないでしょ?」
「や、ずっと独りでお喋りしてるさ」
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laughin' at my cries...
熱は下がったのかな…?
などと案じつつ──
眠れない自分に苦笑のシャワーを。
順番
「順番ってそんなに大事なものかい?」
「いいえ、そんなことつまらないだけだわ」
「後付けでも構わんと?」
「ええ、わたしはね」
「何だかゾクゾクするね」
「ワクワク──じゃない?」
「似たようなものさ。例えば君はどんなのがお望みかな?」
「今まで感じたことのないような──」
「感じやすい?」
「誰彼って訳じゃないわ」
「差別だな」
「区別よ」
「境界線には誰が?」
「わたしが番人よ」
「一線を越えることは?」
「順番待ちよ」
概念の宇宙観
「見ているものが違うんだよ──」
ロックグラスの中の氷をカラカラとやりながら男が呟いた。隣りに坐っている男が訝しげな視線を投げる。
「見ているものって?」
ロックグラスの男が鼻で笑う。
「訊けば見えるとでも?」
隣りの男が閉口する。ロックグラスをひと口舐めてから、ゆっくりと云った。
「見えているものが違う、が正しいかな?」
隣りの男は依然訝ったまま。そんな彼に視線も向けず、ロックグラスの男は愉快そうに肩を揺する。
自己中心的 - 世界の中心
「ねぇ、世界の中心って何?」
目許の涼しげな男が無表情なまま問う。
「君の世界の中心は、って訊いてるんだけど」
問われた男は何も応えない。
「僕の世界の中心は僕。誰にも譲らないよ」
問われた男の視線が泳ぐ。
「世界の中心が他所にある人のほうが危なっかしい。所詮、他人は他人、中心になれる筈がない。それは肉親でも兄弟でも同じこと。自分以外はすべて他の人格だし、制御不能だからって愚図ったりする訳でしょ?」
畳み掛けられた男の額には脂汗が滲む。
「ねぇ、君の世界の中心って何?」
一念発起したように、
「じ、自分です…」
とモスキートボイスが洩れ出した。無表情な男の口許が僅かに緩むと、緊迫した空気も弛緩した。
「グラグラだね──」
天使のような微笑みを浴びせられた男は視線を落とすだけだった。