概念の宇宙観

「見ているものが違うんだよ──」

ロックグラスの中の氷をカラカラとやりながら男が呟いた。隣りに坐っている男が訝しげな視線を投げる。

「見ているものって?」

ロックグラスの男が鼻で笑う。

「訊けば見えるとでも?」

隣りの男が閉口する。ロックグラスをひと口舐めてから、ゆっくりと云った。

「見えているものが違う、が正しいかな?」

隣りの男は依然訝ったまま。そんな彼に視線も向けず、ロックグラスの男は愉快そうに肩を揺する。

___ spelt by vincent.