講談社
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理屈抜きの破壊衝動のみを叩き付けた作品
鮮烈なストーリーはあの「AKIRA」に・・
個人的に村上龍小説の中ではベスト3に入る小説
廃頽した東京の甘くて苦い空気と大気。
講談社
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心臓の音に見えるは青い海。
今だからこそ読んで欲しい小説
圧倒的なエンディング
何かと話題になる
上下巻を読破した。このところ、眠れないので本を読む。気付くと朝。そんな感じ。
あ。勝手に読んでしまってごめんなさい。
読後の感想としては「面白いな」と。どのフレーズかは忘れてしまったが、2度ほど背筋が凍り付いた。
書いたのは村上龍だ。
感想の「面白いな」には、ふたつの意味が込められていた。ダブルミーニングの面白さ。
高校生時分、彼を批判した青瓢箪を思い出したのがひとつ。
青瓢箪は所謂「山の手育ち」。決して裕福な家庭で育った訳ではないが、精神的根底を司る部分がボンボンであった。
大阪岸和田で生を授かり、東京足立の下町で育った僕は、その精神的根底のギャップに…コンプレックスではなく…純粋に「違い」を感じていた。
人間は不平等である。
この思想を抱いたキッカケのひとつだろう。同時に「自分は人とは違う」と云う、隔絶感と支配欲、精神的渇望の種を植えた瞬間だったのかも知れない、と自己解析する。
故に、「協調性」と云う魔物が司る「多数決の嘘」や、冒頭の小説世界で構築された閉塞感と精神的蹂躙など… すべての人間は操られている、と云う根底的真理が導き出されたのだと感じる。
この頃か少し後だったか…「檻の中のマリオネット」と云う小説を書き上げている。引越の荷解きの中から発見され、「あぁ、残っていたんだなぁ」と感慨深いものを感じた。
独りの時間は大事だ。
余計な周囲のノイズを能動的に掻き消し、静かに自問自答する。他人と交わるからこそ、自分自身が抱えている闇の部分を垣間見ること、捉えることが出来なくなる。
何と換言すべきか…「現実逃避」ではなく、「真実逃避」。スライドして「根底放棄」に近い深層心理に支配され、問題解決から遠ざかる一方なのだ、と。
そんなことがぼんやりと輪郭を縁取る。
人は常に孤独だ。
仲間意識や、そこで得られる充足感は後に控えた孤独感に拍車を掛ける種子。
だが、忘れ得ぬ魂の交流を同時に得るからこそ、性懲りもなく、飽き足らず… 何度も同じことを繰り返す原動力としてメタモルフォーゼする。
自身の望まぬ、欲さぬ迎合を、無言で強いられることを余儀なくされ、それに気付かず翻弄され、蹂躙される。
何とも愚かな操り人形ではないか…
すべての人間は不要だ。余剰の余剰の上に成り立った不要物の頂点。何ともおこがましくも、そもそも図々しい。
今、逢いたい人がいる。
すべての人間は不要だが、僕の逢いたい人は僕にとっては必要な人間。その支柱がなければ生きる覇気を失う。
僕は物欲の類いが殆どないから、両眼に映し出された世界が毒々しい色彩を失い、モノクロームで鄙びる。
それほど貧弱な存在が、おこがましくも図々しくも…希望を掲げる。逢いたい、と云う希望を。何度も絶望を据えたことがあるにも関わらず、性懲りもなく、飽き足らず…
とても痛々しくて切ない自身を嗤う。
そして「悪食」と云う言葉を思い出す。
あなたの世界では、
今、何が映っていますか?
僕の世界では渺茫たる荒野が広がっている。僕がそこで座禅を組んで瞑想していると、頬に冷たい何かが当たる。
片眼を開けて視線を上げると、あなたが微笑を浮かべてグラスに満たされた一杯の水を僕の頬に当てている。
僕は両眼を開け、口許を微かに綻ばせると、それを受け取る。ひと口含むと、それはそれは甘い味。世界で一番上等な甘露が舌の上で踊る。渇きが癒される。
全部飲み切ってしまうのは流石に忍びないので半分残してあなたに渡す。
僕が瞑想していた時間、待っていてくれてた訳だし、ただ、そんなことは理由のひとつにもならなくて… 僕が僕の我が儘で一緒に味わいたいだけなんだ。
あなたの世界では、
今、何が映っていますか?
今、逢いたい人がいる。
代替えの利かない、掛け替えのない、
僕の大事な人──。
恥ずかしいので、この辺で。。☆
コメント
2006年08月24日21:21 vincent.
そして、鳴らないケータイを見て、また嗤う。。☆