君じゃないと駄目だ

君じゃないと駄目だ──これは「強欲」。
あなたと一緒に居たい──これは「妥協」。

「違いが解るかい?」

薄暗い照明がぼんやりと灯るカウンター席で紫煙を燻らしながら男が訊いた。

「ええ。簡単よ」

細いメンソールを咥えた女が億劫そうに応える。

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1 欠陥あり?
5 らくらくカキ氷

不意に「虜」と云う字が想い出された。

「虜はかき氷器の中の魚」と云った女の子を想い出した。

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危険人物

「──あなたは危ない人だわ」

ひとつ開けたカウンター席に坐っていた女が不意に口火を切る。

「君に俺の何が見えるんだ?」

大振りのロックグラスの中の氷をカランと鳴らしてから、女を見るともなしに男が訊く。

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奇跡の瞳

「君はその瞳に何を映しているんだい?」
「──」

「綺麗なもの? 汚いもの?」
「両方よ」

「そうか。汚いものは厭だね」
「見えてしまうものは仕方ないわ」

「何故、眼を瞑らない?」
「見えなくなるから」

「何が?」
「あなたが──」

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真っ直ぐ

深い泉に溺れるならば
それも致し方あるまい

心の動きは誰にも制御できない

ただ 僕に関わるつもりが
少しでもあるならば

生半可なプライドやへったくれは
全部 どこかに 棄ててきてくれ

僕は真っ直ぐが好きなんだ
僕は真っ直ぐしか知らないんだよ
真っ直ぐ行くしかないだろ?

僕はそうとしか考えられないんだ

悪いな
これ以上考えられないんだ

難しいことなんて──

すべて 見てきたさ
邪魔臭い能書きは抜きにしてくれよ


僕は真っ直ぐが好きなんだ

___ spelt by vincent.