重い躯を引き摺るように
死地へ赴く兵士のように
見えない鎖で雁字搦めにされた魂は
続行の覇気と交信の甲斐を拒絶する
──虚空を捉える瞳は何も映さない
護送車に揺られるように
生気を吸引されるように
振り向き様に向けられた悲哀に
鋭い爪で心臓を鷲掴みにされる
情け容赦なく締め上げる
口の中の水分が蒸発する
赤信号で停まったときに
駆け出そうとした衝動を
悲愴と現実が足止めする
ぐらりと左折した護送車の車窓越しに
掛け替えのない背中が双眸に灼き憑く
輝きを潜めた天使は 静かに羽を仕舞う
コメント
2006年08月01日18:59 vincent.
そして、丁寧に毛繕いを終えると、
再び、天空に舞い立つ──。