「浮かない顔してんな?」
「──そうかい?」
「ああ。この世の終わりみたいな顔してるよ」
「や、何も始まってないしな……」
「うはは。何かあったの?」
「や、何もないから沈んでるのさ……」
「そんなことないだろ? ひとりジェットコースター?」
「ああ。そうだな。アップ・ダウンは激しいな……」
「要整備ってとこだな?」
「ふはは。暢気な奴だな?」
「何だよ、上から目線? 俺でもたまには辛いことくらいあるんだぜ?」
「そっか。たまに? へぇ〜あっそぉ……」
「あのね… お前、感じ悪いよ?」
「…そうか? 今度から気を付けるよ……」
「今度っていつさ? 今から改めるべき!」
「うはは。面白い奴だな、お前って」
「辛気くさい顔してしょっぱいビーム出してる奴が苦手なのさ」
「え? 俺、そんなビーム出してるか?」
「ああ。そりゃもう。当てられたらこっちが参るよ」
「やぁ、そりゃ悪かったなぁ… うっかりしてたよ」
「うっかりし過ぎ!」
「ホント、今から改めるべきだなぁ……」
「お前もそう思うだろ?」
「ああ。みっともない…」
「まぁ、何があったか知らないけどさ、聞きたくもないし」
「ちょっとくらい聞いてくれてもいいだろ?」
「どうせ、くだらないことだろ?」
「どうせって云うなよ……」
「お前も解り切ってることで、いつまでもウダウダする奴じゃないだろ?」
「まぁな… 割と切り替えは早いほうだとは思ってるよ」
「そうだろ?」
「まぁね」
「だったらビームは引っ込めとけよ」
「誰かに当たったら危険だしな?」
「そうだよ。責任取れるのか?」
「責任? 痺れるワードだねぇ。トラウマ・ワード筆頭だよ……」
「どうせ、お前じゃ何の責任も取れないさ」
「どうせ、て。追い打ち掛けんなよ……」
「うはは。悔しかったら掛かってこい」
「ま。そんな元気はないけどな?」
「まぁ、いいや。弱い者イジメは俺の性に合わない」
「お前と話してたら何だか馬鹿らしくなって来たよ」
「そりゃ褒め言葉か?」
「ん? まぁ、好きに取れよ」
「うひゃひゃ。しょっぱいのぅ〜」
「まぁま、ズカズカと……」
「別に構わんだろ?」
「ああ。全然、構わんよ」
「ちょっとは構えよ」
「や、構って貰ってるのは俺のほうさ」
「お前って、ホント、寂しがり屋だな?」
「なかなか廃業させてくれねえんだよ」
「ま。無理に辞めることもねえだろ?」
「まぁな。無理は無理だしな」
「うまく付き合えよ」
「そうだな。自分とは一生付き合う訳だしな」
「途中で降りるとか云うなよ?」
「何度も降り掛けたよ」
「お前はな。受け取り拒否されるくらいなんだ。何度も突っ返されてるだろう?」
「……」
「自殺なんてのはな。当人が思ってるほど他人は評価してねえんだぜ?」
「そうかも知れないな」
「他人の顔色窺う必要はないけどな?」
「ああ。それは大丈夫だ」
「だったら、いいから諦めろよ。みっともない」
「そうだな」
「自分の魂は自分で自由に斬り刻め」
「何だか面白い表現だな?」
「そそ。おもろければ何でもいいんだよ」
「そうだな」
「自殺と自決の違いさ。──解るか?」
「何となくな」
「おい。所で、どうする?」
「どう、って?」
「ん? 決まってるじゃねえか」
「何が?」
「What do you wanna do?」
「欧米か……」