アンニュイな雨の昼下がり

雨音を聞いていると
現われるはずもなかろう
君の足音が混じっていそうで

 耳を澄ましても
 目を凝らしても

果敢ない幻想だと思い知るのに
それほど時間は掛からないはずなのに

雨音と喝采とを重ね
そうして幾漠かの潤いを
渇いた心をなけなし宥める

アンニュイな雨の昼下がり

アッシュグレイの雨雲を眺めながら
いつもより長めに紫煙を吐き出す

___ spelt by vincent.

どん底

どん底──。

あるかないかで云えば、どん底は確かにある。

しかし、ここがどん底だ、と思っているうちは、まだ、どん底にはいない。

「どん底」と「限界」はよく似ている。

限界だ、と思っているうちは、まだ、限界ではない。「どん底」と「限界」に、そんな「余裕」はない。

ハイパーネガティブ。

ネガティブを超越せよ。そして、そこに鎮座するスーパーポジティブを感じよ。

我が魂の命ずるままに──。

___ spelt by vincent.

シークレット・パラドックス

「秘密を打ち明けたい」
「秘密?」

「ああ。信頼している人にしか教えたくないんだ」
「そうか。僕は君の味方だ。何でも話してくれよ」

そう云うと、彼は曇りのない澄み切った瞳を見せた。覚悟を決めたように頷くと、少年が彼に耳打ちした。

「僕は誰も信じていないんだ」

少年の秘密を知った彼の瞳に髑髏が浮かぶ。

___ spelt by vincent.

鬻ぐ

鬻ぐ──と云う言葉をご存知だろうか。読みは「ひさぐ」。卑語の対義語である雅語に属す。

雅語とは、平安時代、和歌などに遣われた洗練された上品な言葉。正しいとされる優雅な言葉のことである。

或いは、「販売」の「販」に「ぐ」と送り仮名を付けても「ひさぐ」と読む。聞き慣れない言葉であっても、このような置換で大枠の意味を把握することができる。

鬻ぐとは、ご推察通り「売る。商いをする」と云う意味の雅語である。

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疑問考 - 未知と既知の境界線 ダークマターの存在

通念上、俄に湧き立つ疑問などどうでも良い。

それらは某かの制度によって生じた、或いは、環境──つまり、条件を必要とする「後付けの疑問」だからだ。

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記憶 - メタルミルフィーユ

幅約1センチ、長さ約3センチ程度の矩形。柔軟性が高く、指先で難なくしなる。

あの金属片は何だったのだろう。名前が出てこない。

遡ること小学生時分、理科の実験で使った記憶だけがぼんやりとある。

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mother's day - 山下達郎 - Ride On Time/Your Eyes

Ride on time, Your eyes/山下達郎


これから母の日のお祝いに☆

そんな感じで♪

___ spelt by vincent.