鬻ぐ

鬻ぐ──と云う言葉をご存知だろうか。読みは「ひさぐ」。卑語の対義語である雅語に属す。

雅語とは、平安時代、和歌などに遣われた洗練された上品な言葉。正しいとされる優雅な言葉のことである。

或いは、「販売」の「販」に「ぐ」と送り仮名を付けても「ひさぐ」と読む。聞き慣れない言葉であっても、このような置換で大枠の意味を把握することができる。

鬻ぐとは、ご推察通り「売る。商いをする」と云う意味の雅語である。

「急な入り用がありまして、ちょっと反物鬻いで参りましたの」
「まぁ、それはそれは」

...などと云うシーンが描ければ、なかなかに雅な風情であるが、何てことはない。質屋にでも売っぱらったのだろうと予想が付く。

或いは、別の用例として、

春を鬻ぐ

と遣ってみると、どうだろう。

優雅な表現ではあるが、平たく「売春」と云う意味だ。

「ちょっと春を鬻いで参りましたの」
「まぁ、それはそれは」

ジーザス。。

かのデタラメ日本語捏造業界であるマスコミが命名した「援助交際」、果ては、スラングとして定着した「円光」と同義である。

例として題材に挙げた言葉(売春)の倫理的な意義はどうであれ、「雅語」と云う観点から捉えれば「円光」のほうに軍配が上がると感じるのは気の所為だろうか。

閑話休題。

論旨が見えない、とお嘆きの方が目に浮かぶので、理解の助力として、共感を促すために助け舟を出すと、、

言葉と云うのは語感によってその本質を曇らせる。

──と云いたいだけだ。

そして、その逆もまた真なり、と云うことで、

例えば「耳障りの良い響き」と云うのは、何もお為可笑しい綺麗事の類いとは限らず、単純に、響きが美しければ好きな楽曲と同様の印象を与える。

──と云いたいだけなのだ。


好きな人から云われる「バカ」と云う言葉。
嫌いな人から云われる「好き」と云う言葉。

多分、意味は百も承知でありながら、その逆の意味として捉える。そして、返す言葉はおおよそ次の系譜に落ち着く。

「んもう。バカなんだから!」
「そんなこと云っちゃってー」

「あなたが好きです」
「ごめん。他所を当たって下さい」

このような「意義根底スパイラル・クロス自己都合解釈」をとても愉快だと感じる僕は果たして変態なのだろうか。

「んもう。バカなんだから!」
「どーも済みません(ドヤ顔ニヤリ」


まぁま、さしたるオチもなく、、←ないんかい!?w
一気におバカを鬻いでみましたとさ☆(´∀`*)ノ

そんな感じで♪

【追記】
[ Neo Japanesque ]
Collaboration Vol.04 IZAYOI 十六夜
2002/11/03公開

___ spelt by vincent.