実際、厄介だぜ。

言い方なんてのは特にないが、語り方ってのは幾通りもある。

おざなりだろうが、ぞんざいだろうが、聞き遂げた者に響かなければ、何も言ってないのと同じこと。

刺さるフレーズてな音楽とよく似てる。
ロックが聴きたいときと、バラードが聴きたいときじゃあ気分が違うだろ?
奏でるように語り掛けるのさ、そいつのご機嫌伺いながら。

媚びてる訳じゃないんだぜ?
優しさってのはこちらの優位性の押し売りなのさ。
響かなければ煙たがれるだけ。

まぁ、何でも工夫が必要ってこった。

実際、厄介だぜ。

___ spelt by vincent.

支点

真ん中がブレると支えられなくなる。
どちらか一方に傾ぎ、動けなくなる。

心と体の比重。どちらか一方に傾いだ状態ではうまくない。
それは善と悪も同じこと。
シーソーを思い浮かべると理解に容易い。

対を成すもののすべては、どちらか一方に傾いだ状態では本質を表現し得ない。
それらは常に揺れ動き、そのもの足らしめる本質を象ろうとしている。

どちらか一方が色濃く反映されていると感じられるのは、飽くまで、客観視。
それを見る観察者の観点である、と云える。

自身は最後の最後まで揺れている。
主観視とは、最後の最後まで油断しているものなのだ。
故に、観察者の都合に合わせた反映を見せるのだ。


真ん中がブレると支えられなくなる。
どちらか一方に傾ぎ、動けなくなる。

いずれか一方に傾いだ状態が長引けば、それを見る観察者の興味を失う。
観察者の主観とは、動くものにだけ反応するのだ。

──と、そのような観点があることを、自身の主観に加えてみる。


支点が定まらないと、視点が定まらない。

___ spelt by vincent.

無意味

無意味なことに執着し、意味を持たせる。この行為こそが無意味である。

それは、せねばならない的確な理由を持たない。某かの理由がある時点で、無意味だとは云い難いからだ。

例えば、理由があるうちは極まっている状態とは程遠い。或いは、極まりを追わない求道など、それこそが無意味である。

表層の無意味さと真の無意味さには雲泥の格差がある。


研ぎ澄ませ。鋭利な刃物の如く。
追い求めろ。腹を空かせた餓鬼の如く──。


無意味なことに執着し、意味を持たせる。この行為こそが無意味である。

無意味なことに執着し、それを知り得る意味や理由など、いつしか何の意味も価値もないことを知り至るまで──。


研ぎ澄ませ。鋭利な刃物の如く。
追い求めろ。腹を空かせた餓鬼の如く──。


我が魂の命ずるままに──。

___ spelt by vincent.

前世の遺留品

例えば、かなりの困難を極めたとしても、いずれ必ず見つかる探し物ならば、元々、自分の持ち物だったと云えそうだが、同等の労力を費やしたとしても、尚一向に見つからないということは、多分、自分の持ち物ではないのだろう。

前世の遺留品。

あろう筈もなく、遺失物届けにも決して挙がって来ないような架空の忘れ物。
それを求め、当て所なく彷徨っている様子を「渇望」と呼ぶのかも知れない。


前世の記憶ほど当てにならないものはない。
どういう訳か、それだけはよく覚えている。

___ spelt by vincent.

正直者は馬鹿を見る

「『正直者は馬鹿を見る』って云うだろ?」
「ああ」

「お前はそれをどう思う?」
「どうって云われてもなぁ…」

「正直に云ってみろよ」
「まぁ、相手を疑ったりしないから騙されやすいってことじゃねえのか?」

「そんなもんかねぇ…」
「俺もよく分からねえけどな、大体、そんなとこじゃねえのか?」

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薄紅色の夢雫

「やぁ、君はどう思うか、ちょっと聞いて欲しいんだ」
「あら、何の話?」

ふたりで夕食を摂っていると、彼は出し抜けにそう切り出した。

「ちょっと面白い話を聞いてね。そういうものなのかなぁ、って」
「面白い話? いいわ、聞かせて」

彼女は口許をナプキンで拭うと、彼を見つめた。

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期待

期待とは期を待つ忍耐である。
故に、他者に与えるプレッシャーであってはならない。

だが、哀しいかな人は、これを以て他者を拘束しようと考え、また、拘束できると信じている節がある。
故に、その対極が露見・展開された場合、「裏切られた」などという被害意識を、その他者や状況に向けたりするのだ。

非常に残念ではあるが、激しい勘違いだ。

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禁則を掲げるネガティブ思考考

Web業界からモバイル業界へ転身して約半年余り。
技術の変遷、選択にはさほど躊躇なく滑り込めるが、その業界体質、雰囲気に些かの違和感を覚える瞬間がある。

『禁則を掲げるネガティブ思考考』──である。

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