うい

う・い 【▽愛い】
(形)感心だ。殊勝である。かわいい。
「─・い奴」「─・い若い者、出かした、出かした/浄瑠璃・本朝三国志」
〔殆ど連体形のみ。目下の者をほめるのに用いる〕

目下。。? ムゥ。。

はっっ!?

まいっか☆ ピョーン♪

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漠然

鬱蒼と生い茂る樹々が
湖畔を取り囲むように
屹立している

漣ひとつ立っていない 湖の中央に
粗末な布切れを纏った男がひとり
鎮座している

 瞑想──

視覚で捉えられる情報を 自らで遮断
そして やがて 訪れるのは…

 静寂──

聴覚で捉えられる情報は 何ひとつ無く
果てなく続く 無音の世界が
ひんやりと 横たわる


 色即是空
 空即是色


脳裏に ぼんやりと 浮かぶ
それらの言葉には 取り立てて
特別な 意味は無い


 漠然──


本質や核心とは
漠然の近似値に在るのかも知れない


 ぼんやりと
 不明瞭だが
 それでいて

 確かに
 鮮明に──

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freeze...

例えば、
ひとりで電車を待っている1分と
ふたりで唇を重ね合わせる1分と

同じ1分でも、まるで違う。


例えば、
足早に過ぎ去って欲しい1分と
そのまま止まって欲しい1分と

同じ1分でも、まるで違う。

そう感じてしまうのだから仕方ない。


時の刻みは何人たりとも御せるものではないが、無理な願いが叶うとしたならば、


 時間よ、過ぎ去れ。

 そして、

 時間よ、止まれ──


そのまま。そのまま。

美しい時間のまま凍り付いてしまえ。
それだけでいい。

たった、それだけでいいんだ──


freeze... freeze... freeze.....

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時限爆弾

例えば、幸福な時間や不幸な時間。
どんな時間にも限りがある。

ほんの些細な出来事やありふれた日常と
破裂してなくなってしまう時限爆弾は、
とてもよく似ているのかも知れない。


願わくば、
どうか、まだまだ、破裂しないで。

時間ギリギリまで、
ギリギリいっぱいまで、

感じさせてくれ──

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割り切る

Winの電卓で遊んでた。

10÷2=5
10÷3=3.3333333333...

ふと、「割り切れないんだよなぁ…」と云う言葉を思い出した。

「…いつまで3続くねんっっ!」

数式的には、こう云う状況で、だからこそ苛立つんやろなぁ、と。

10÷0をやってみた。

「0で割ることはできません」と云われた。

他の数字でも試してみたが、通り一辺倒に同じ返答。


自分が「割り切れない」と云う気持ちを抱いたとき、自分自身が「0」で割ろうとしていないか? と云うことを、ふと思った。

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ギリギリの安心感

切り立った崖と崖とを結ぶ1本のロープ。

渡り切った向こう側に何かある訳ではない。
「目的」「理由」は何もない。
「期待」「希望」も何もない。

ただ、そのロープを渡らねば、と云う厳然たる回避不能な現実があるだけ。

一番愛しい存在を抱えて、それを渡る。

突風に煽られ足元がぐらつく。
諸共、転落する可能性もある。

抱えている者を投げ出すことで助かるならば、自分だけ助かりたい、と云う「未練・執着・保身」もなく、

わたしを投げ出してあなたが助かるならば、わたしを投げ出して、と云う「直訴・懇願・挺身」もなく、

「落ちてしまうなら儘よ」と、お互いに何の「疑問」も「躊躇」も抱かないような…

否、誰に命じられることなく、能動的に、自らの意志で抱けないような、抱かせないような… そんな感覚──。


ギリギリの安心感──。


そんな感覚に見舞われる。

落ちてしまう可能性を十分知りつつも、落ちてしまうのも、また、この愛しい存在とならば、そして、どこか「落ちる筈はない」と云う「確信」を抱き…

大いなる矛盾を抱きつつ、その矛盾に気付きつつ、理解を飛び越え、感じる、心地好い絶望的な感覚……


ギリギリの安心感──。


ロマンティストは救われない。
救われないから抗わない。
否、救われないなら抗わない。

「潔」を以って、この安心感を受け入れ、全うする。

生の潰えるその瞬間まで──。

___ spelt by vincent.

剪定される蔦

煙草を買いに外に出た。

トントンと階段を降りると、数人の庭師らが家の壁面を這うように茂った蔦に剪定鋏を入れていた。横目でちらりと見てから自販機へ向かう。

戻って来ると、入口附近でラフな格好の大家さんとスーツを着た男が図面を拡げて立ち話をしていた。

「こんにちは。あ… おはようございます」

大家さんが挨拶して来たので、おはようございます、と応えた。

「今日は剪定してるんですよ」

ああ、そうなんですか、と微笑み、階段を昇った。部屋に戻ると、おかえりなさい、と布団の中から姫の声。

「今、外で剪定してるよ」
「センテイ?」
「うん。蔦やら何やら伸び放題やしねぃ」
「え? 伐ってるの?」
「うん。大家さんが職人に指示してたよ」

しばし沈黙する姫。

「ん? どしたぁ?」
「や、トイレの窓の…」

トイレのルーパー窓に絡まった蔦のことを思い出した。

「ああ、絡まった蔦のこと?」
「うん… 伐られちゃうのかなぁ?」
「うん、そーだね。伐られちゃうね…」
「…そっかぁ」

姫の顔色が曇った。

「あたしは別に構わないのに…」
「や。でも、夏になるしねぃ。大家さんトコなんて虫わんさかおるんちゃうかなぁ?」
「可哀想…」

寝る、と云うと、姫は背中を向けて寝入ってしまった。


住居を管理する側である大家さんのベクトル。そこに居住する者のベクトル。そして、双方のベクトルの合致点・共通項として選ばれた物云わぬ植物──。

自然との調和と共存は難しいことなのかも知れない。

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理由

小学生の頃、
「犬と遊びたい」と云って、
会いに行った女の子のことを
ふと思い出す。

それほど気にしてなかったにも関わらず、
「髪伸びたなぁ」と云って、
会いに行った床屋の女の子のことを
ふと思い出す。

女の子の顔は忘れた。
ただ、そのときの気持ちは、
ぼんやりと覚えている。


いつからだろう?

「会いたい」と云う自分の気持ちに
「理由」が必要になってしまったのは…


いつ頃からだろう…?


 思い出せない…
 脳細胞は劣化するのみ…

 脳細胞に限らず、
 細胞のひとつひとつは
 刻一刻と死に絶えてゆくのみ…


そんなことが、ふと脳裏を掠めた。

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明かり

樹々が鬱蒼と生い茂った森の
漆黒のアウトライン

森に棲んでいるであろう生命の息吹は
なりを潜める

驚くほどの静寂が 辺りを覆い尽くす

夜空には星はひとつもなく
月明かりさえ 黒い雲に遮断されている

光源はひとつ

真っ暗闇の中 一筋に伸びた畦道の先に
ぼんやりと燈る 明かりだけ

ゆらゆらと 不安定に 揺れ動く
目に優しい 温かい 明かり

今にも 消え入りそうに
ゆらゆらと 明滅する


そんな中 ひとり 立ち尽くす

ゆらゆらと揺れる唯一の光源を
ぼんやりと 眺める


風が 頬を 撫でる
風が 頬を 撫でる

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