2006年8月 アーカイブ[23]

近くて遠い空の下で

姉の誕生を祝うあなた。
せめて密やかに缶ビールで祝杯を。

あなたの安否を案じながら、
モニタ越しの想いを汲み取る。

陸の孤島同士の連絡船は、
不便だからこそ
焦がれるように狂おしい。

心鎮めて 穏やかに
ひとり 静かに
紫煙を 燻らす──。

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大小様々の円

大小様々の円──。

円の輪郭は境界なのか柵なのか檻なのか、甚だ不明ではあるが、いずれにせよ、その円の中から外れないように、或いは、溢れないように、規則的に、ときには、不規則に、その円の中で一連の挙動が終始する。

大きい輪、小さい輪、と云ったほうが分かり易いだろうか。いずれにせよ、そこからはみ出してしまうことを何よりも恐れ、不安がっているようにも見える。

私は、どの円にもどの輪にも属さない。或いは、私は、どの円でもどの輪でも属せる。

属さないからこそ属せ、属せるからこそ属さない。

「色即是空」「空即是色」と云う言葉が頭に浮かぶ。

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順番

「順番ってそんなに大事なものかい?」
「いいえ、そんなことつまらないだけだわ」

「後付けでも構わんと?」
「ええ、わたしはね」

「何だかゾクゾクするね」
「ワクワク──じゃない?」

「似たようなものさ。例えば君はどんなのがお望みかな?」
「今まで感じたことのないような──」

「感じやすい?」
「誰彼って訳じゃないわ」

「差別だな」
「区別よ」

「境界線には誰が?」
「わたしが番人よ」

「一線を越えることは?」
「順番待ちよ」

___ spelt by vincent.

概念の宇宙観

「見ているものが違うんだよ──」

ロックグラスの中の氷をカラカラとやりながら男が呟いた。隣りに坐っている男が訝しげな視線を投げる。

「見ているものって?」

ロックグラスの男が鼻で笑う。

「訊けば見えるとでも?」

隣りの男が閉口する。ロックグラスをひと口舐めてから、ゆっくりと云った。

「見えているものが違う、が正しいかな?」

隣りの男は依然訝ったまま。そんな彼に視線も向けず、ロックグラスの男は愉快そうに肩を揺する。

___ spelt by vincent.

自己中心的 - 世界の中心

「ねぇ、世界の中心って何?」

目許の涼しげな男が無表情なまま問う。

「君の世界の中心は、って訊いてるんだけど」

問われた男は何も応えない。

「僕の世界の中心は僕。誰にも譲らないよ」

問われた男の視線が泳ぐ。

「世界の中心が他所にある人のほうが危なっかしい。所詮、他人は他人、中心になれる筈がない。それは肉親でも兄弟でも同じこと。自分以外はすべて他の人格だし、制御不能だからって愚図ったりする訳でしょ?」

畳み掛けられた男の額には脂汗が滲む。

「君の世界の中心って何?」

一念発起したように、

「じ、自分です…」

とモスキートボイスが洩れ出した。無表情な男の口許が僅かに緩むと、緊迫した空気も弛緩した。

「グラグラだね──」

天使のような微笑みを浴びせられた男は視線を落とすだけだった。

___ spelt by vincent.

念う

文章として書き起こすと、途端に軽く感じてしまうかも知れないが…

ただただ、案じている。
今しばらくは。今しばらくは。

辛さ苦しさが深い分、感動もまた深い。
──vincent.語録のひとつ。

ならぬ堪忍、するが誠の堪忍。
──僕の製造元の片割れから聞いた言葉。

ただただ、案じている。
今しばらくは。今しばらくは。


包んでやる。

全部だ。
全部、包んでやる。

ありったけ包んでやる。





行間に魂を込めて──。

___ spelt by vincent.

ストラテジー

戦略はイメージありき。
人は捉えられないものに囚われてやまない。

虚と実、実と虚。
そもそも輪郭のぼやけてるものを某かでセグメントする愚行は、インテリかぶれな人間の愚かな人間の人間たる所以。

戦略はイメージありき。
人は捉えられないものに囚われてやまない。

我が魂の命ずるままに──。

___ spelt by vincent.

両の腕(かいな)を拡げてみれば

ゆっくりだが、確実に回転している。
寂寥感の中にも、
ひんやりとした心地好さが同居する。

離れなくてはならない場所に居て、
なおも自身を押し殺し、制御を試みる。

相手を思う余り、恋い焦がれる余り、
恋い余る故に──。

魂の振動は制御不能。
だからこその過剰抑制。
魂はあなたのものだが、
魂の器はそれほど頑丈じゃない。

ただ、今しばらくは堪えてくれ。
ゆっくりだが、確実に回転している。

焦がれる焦燥感を自虐的な悦楽に変えて、
現実と非現実を優雅に彷徨う──。


あなたと共に。


両の腕を拡げてみれば
深い懐が解放される──。

気付いてないかも知れないけれど、
鍵を開けたのは、あなたなんだよ。

遠慮する必要は、ないんだよ。
遠慮する必要は、ないんだよ。

___ spelt by vincent.

藪から棒に狙いを定める

自我の人格は他我に育まれ捏造される。

曖昧な輪郭を他我の指摘、明言によって確固たる自我の確立への糧とする。

──のか?

否、やはりそれは飽くまでイメージ、幻想に過ぎない。だが、人は幻想を幻想として括り切れない。

故に、風評の類いとは一気に浸透し、収束には困難を極める。
願わくば、

『覚醒せよ──』

人智を超えた強大な未知なる力に向かって、藪から棒に狙いを定めショットガンの雨を。

*自コメントより抜粋

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