ここのところ暑さのせいも重なり、睡眠不足が続いた。溶けるように眠りに落ち、気が付けば午前10時を回っていた。
ある人からメッセージが届いていた。
強さと弱さの折り混ざった文面に義侠心が奮い立った。
「玉石混淆」
ある巨大掲示板サイトの管理者がいった。
昼夜を問わず寄せられる膨大な情報は受信側によって有用・無用に分岐される。玉や石を選別するのはユーザー自身。
そのサイトに限らず、世に転がっている情報の多くは石だ。玉を探すことのほうが難しい。美しく在りたいが、綺麗なもののほうが少ない、ということだ。
石の中に特定個人に対する誹謗・中傷というものがある。
義侠心が生まれた要因だ。
他人の悪口をいうなとはいわない。
様々なベクトルが交錯する中において価値観の相違はデフォルトだ。
レゾナントを求める純真無垢な心は、いつも悲鳴をあげている。
俺はただ陰口を叩くな、とだけいいたい。
秘匿性の高さを隠れみのに己だけのベクトルに任せた一方通行な能書きに辟易とする。
他人に意見したいのならば、まず己を晒せ。
悪口と陰口の違いはこの一点。
己の所在も明らかにできない卑劣漢が、ひとつの頂を目指し、ひたむきに進んでゆく美しい姿を愚弄するな。貶めるな。傷付けるな。穢すな。吐き気がする。みっともない。
憧憬と嫉妬のベクトルが思考回路を麻痺させ、精神を歪曲させ、自身で勝ち得ない美しさを許容できないだけだ。自身のキャパシティの限界を他に転嫁するな。
ひとつの強烈な個性や芸術には、賛否両論がつきものだ。オベイションとバッシングの対極がない要素には、人の心を動かすだけの強烈なインパクトは存在しない。本物には偽物にはない激烈な波動が存在する。
標的となった者には賛を糧にし、否を呑み込むだけの強靱な精神力が必要とされる。それがない者は、元々、賛美を受けるだけの才能を発揮できないだろうし、従って、標的にもなり得ない。
対極を知るものは両対極を制す。
勝ち組は負け組の屈辱を舐め、真の勝ち組に浮上する。
頂を目指す者には悲愴な覚悟が胸に宿る。
常に自身の内面との闘争が続くだけだ。
揺るぎない自信がぐらついたとき
自身のベクトルに疑念を抱いたとき
穴が開いたような虚無感に包まれたとき
なんだかアホらしくなってきたとき──
少しだけ肩のチカラを抜いてみたい。
重さの対極に軽さがある。上っ面は軽くても重さを感じさせることができれば、俺は俺でいられるような気がする。
俺は父母からこの世に排出された排泄物だ。
元々、汚いものだからこそ美しく在りたい。
だからこそ「義」に生きるべきだ。
ひたすら、己の義に忠実に生き抜くべきだ。
「義」とは、「美」と「我」の合成だ。
己の生き様を美しくする、という意味だ。
俺は美しいものの味方で在りたい。