「あなたが欲しいものって何?」
「ん? 僕の欲しいもの?」
「ええ。なぁに?」
「返答に困る質問だな…」
「簡単よ。わたしからプレゼントされて嬉しいものよ」
「君から? はて…」
「んもぅ、じれったいわねぇ。分かってるクセに…」
「や、知らないことのほうが多い」
「タイトルにもあるでしょ?」
「ふふ。それを云えばいいのかい?」
「そうよ。意地っ張り」
「意地なんか張っちゃいないさ」
「じゃ、どうして?」
「風が吹けば飛んでゆく」
「──」
「君は僕の大事な人──君からそんな軽いものを貰う訳にはいかない」
「──」
「哀しくなるだけだ」
「…あなたは今まで何を見てきたの?」
「何も見ていない」
「え……?」
「透明な風が吹いていたよ」
「──」
「心地好い欠片が舞っていた」
「心地好い欠片?」
「ああ。身震いするような」
「そう…」
「君にそんな安っぽい欠片を吐かせたくないだけなんだ」
「あなたって…」
「なんて馬鹿な人、かい?」
「や、そうじゃなくて…」
「?」
「綺麗な人」
「お世辞はよせよ。綺麗な人が聞いたら怒り出す」
「いえ、お世辞なんかじゃないわ」
「そう? ありがとう。嘘でも嬉しいよ」
「嘘でもない。本当にそう思うわ」
「思うのは自由さ」
「あなたに欲しいものを訊いておいてアレだけど…」
「うん。どうした?」
「わたしの欲しいものを聴いて欲しいの」
「ああ。いいよ。何だい?」
「あなたの愛をください」
彼は口許に僅かな微笑を浮かべた。
コメント (1)
「愛しい」と書いて「かなしい」と読む。
彼は「愛」ではなく「哀」を知る男──。
ま。感じ出したいときには、このセンテンスを。。☆
そんな感じで♪