輪世色境 -
世は
輪 りて色を以て境 とす。
- せかい 1 【世界】
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- 地球上のすべての国家・すべての地域。全人類社会。
「─の平和」「─最高の山」 - 物体や生物など実在する一切のものを含んだ無限の空間。宇宙。哲学では社会的精神的事象をも含める。また、思考・認識する自我に対する客観的世界をさすことも多い。
「可能─」「─の創造」 - 自分を中心とした生活の場。自分の知識・見聞の範囲。生活圏。世の中。
「新しい─が開ける」「ピカソの─」「あなたと私とでは─が違いすぎる」「君は─が狭いよ」 - 同一の種類のものの集まり、またその社会。
「動物の─」「勝負の─は厳しい」 - 歌舞伎・浄瑠璃で、その作品の背景となる特定の時代や人物類型。例えば「仮名手本忠臣蔵」の世界は「太平記」。
- くに。土地。地方。異境。
「知らぬ─にめづらしき憂へのかぎり見つれど/源氏(明石)」 - 界隈。付近一帯。
「いづら、といひて、もてこし人を─に求むれどなし/大和 168」 - 遊ぶ所。遊里など。
「─は大みせ、女房にもならうといふ女郎、しやうといふ客/洒落本・傾城買四十八手」 - 〔仏〕〔梵 lokadhtu〕
- 須弥山(しゆみせん)を中心に形成される一定の空間領域。全宇宙にはこの世界(一世界・小世界)と同じ規模の世界が数多くあるとして、三千大千世界などと表現する。
- 衆生(しゆじよう)が住んでいる場所で、時間・空間的になんらかの制約を受け、まとまりをもっている広がり。
- ある仏を中心とする空間。仏国土。
- 地球上のすべての国家・すべての地域。全人類社会。
- りんかく ─くわく 0 【輪郭/輪▼廓】
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- 物の周囲をかたちづくっている線。
「なだらかな山の─」 - 物事の概要。大筋。アウトライン。
「事件の─」 - 顔立ち。容貌。
「端正な─」
- 物の周囲をかたちづくっている線。
- まわ・る まはる 0 【回る/▼廻る】
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- (動ラ五[四])
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- 物体が、ある点や軸を中心にして、円形の軌跡を描くように動く。回転する。
「風車(かざぐるま)がくるくる─・る」「扇風機が─・っている」 - 物の周囲に沿って円を描くように動く。縁を伝う。
「地球は太陽のまわりを─・っている」「風が西から北へ─・る」 - 何か所かを順に移動して、出発点に戻る。また、順に従って移る。
「ヨーロッパ五か国を─・る」「回覧板が─・る」「書類が経理課に─・る」
「汝は洛中を─・り隠れもなき鰯売り/御伽草子・猿源氏」 - 遠回りの道をとって行く。
「急がば─・れ」「橋へ─・れば人が知る/閑吟集」 - 直接行かないで別の所に寄る。
「得意先を─・ってから会社に行く」「帰りに図書館に─・る」 - 別の位置・立場に移る。
「裏方に─・る」「敵に─・る」 - 番・時期などが順に移る。
「掃除当番が─・ってくる」 - ある範囲に行き渡る。広がる。
「毒が─・る」「手が─・る」 - 十分にはたらく。
「舌が─・らない」「知恵が─・る」 - (時計の針が通り過ぎることから)その時刻を過ぎる。
「五時を─・る」 - 資金が利息を生む。
「五分(ぶ)で─・る」 - やり繰りができる。
「─・らぬ暮し常なれど/人情本・梅児誉美 4」 - 遊里で、遊女などが客の気に入るように努める。
「さのみ物もつかはぬ男に─・りておもしろがるに/浮世草子・置土産 5」 - 動詞の連用形の下に付いて、そのあたりを…しながら移動する、…をして歩くなどの意を表す。
「うわさを触れ─・る」「探し─・る」
- 物体が、ある点や軸を中心にして、円形の軌跡を描くように動く。回転する。
- 〔「回す」に対する自動詞〕
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[可能] まわれる
[慣用] 気が─・手が─・手が後ろに─・目が─・焼きが─/首が回らない・付けが回って来る
- 回り回って
- 次々に回っていって。
- 回れ右(みぎ)
- 体を右に回して、後ろ向きに向きを変えること。号令などにも用いる。
「─する」
- みる 【▼廻る】
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- (動マ上一)
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めぐる。巡回する。
「打ち〈みる〉島の埼埼、かき〈みる〉磯の埼落ちず/古事記(上)」
- めぐ・る 0 【巡る/▽回る/▼廻る】
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- (動ラ五[四])
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- 物の周囲をたどって進む。
「池を─・る」 - 一定の経路に従って進んでもとに戻る。
「血液が体内を─・る」「季節が─・る」 - あちらこちらと移り動く。
「秘湯を─・る旅」
「をみなへし咲きたる野辺を行き─・り/万葉 3944」 - 物のまわりを取り囲む。
「池を─・る小道」「本堂を─・る廊下」 - ある事を中心としてつながり合う。
「入札を─・る疑惑」「賛否を─・って議論が白熱する」 - 回転する。
「思ふやうに─・りて、水を汲み入るる事/徒然 51」 - 輪廻(りんね)する。
「六道四生に─・る事もまた、財を貪るに依りて有る事也/今昔 4」 - 生き長らえる。
「我かくて憂き世の中に─・るとも/源氏(手習)」 - 時がたつ。
「雲の上に千代を─・らむ初めとて/増鏡(さしぐし)」
- 物の周囲をたどって進む。
- 〔「巡らす」に対する自動詞〕
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- 巡り巡って
- あちらこちらを巡った末に。回り回って。巡りに巡って。
「─私のところにきた」 - 回る因果(いんが)
- 因が果となり、果がまた因となって、はてしなく繰り返すこと。
- もとお・る もとほる 【▽回る/▼廻る】
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- (動ラ四)
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- 同じ場所をぐるぐるまわる。徘徊(はいかい)する。もとおろう。たもとおる。
「細螺(しただみ)の、い這ひ─・り、撃ちてし止まむ/古事記(中)」 - 物事が思うように運ぶ。自由になる。
「口が─・らずとも、間をおいて聞かせられい/狂言・魚説経」
- 同じ場所をぐるぐるまわる。徘徊(はいかい)する。もとおろう。たもとおる。
- いろ 【色】
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- 2 (名)
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- 光による視神経の刺激が脳の視覚中枢に伝えられて生ずる感覚。色相(色あい)・明度(明るさ)・彩度(あざやかさ)の三属性によって表される。また、特に白や黒を除いていう場合もある。色彩。
「海の─」「明るい─」「いい─に上がる」 - 物の表面に表れている、そのものの状態。
- 顔色。また、表情。
「─に出る」「─をなす」「─を変えて怒る」 - 様子。情趣。
「─を添える」「秋の─が深まる」 - (声などの)調子・響き。
「声(こわ)─」「音(ね)─」 - きざし。
「あせりの─が見える」「敗戦の─が濃い」 - 心のやさしさ。情愛。
「心の─なく、情おくれ/徒然 141」 - 容姿。姿。
「傍への─異なる人を御覧じても/太平記 18」
- 顔色。また、表情。
- 男女の情愛に関する物事。
- 男女間の情事・恋愛。
「英雄─を好む」「─の道に通ずる」「─を売る」 - 情人。恋人。
- 遊女。
- 遊里。
- 男女間の情事・恋愛。
- 特定の色彩に関するもの。
- 禁色(きんじき)。
「女の─許されたるありけり/伊勢 65」 - 白色の喪服。
「葬礼に─を着て供して見せ/浄瑠璃・博多小女郎(中)」
- 禁色(きんじき)。
- 種類。
「─とりどり」
「目に見ゆる鳥けだ物、─をもきらはず殺し食へば/宇津保(俊蔭)」
- 光による視神経の刺激が脳の視覚中枢に伝えられて生ずる感覚。色相(色あい)・明度(明るさ)・彩度(あざやかさ)の三属性によって表される。また、特に白や黒を除いていう場合もある。色彩。
- (形動ナリ)
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- (女性の髪などが)美しく艶(つや)のあるさま。
「御髪─にて/源氏(竹河)」 - 好色なさま。
「いと─なる御心ぐせにて/大鏡(師輔)」 - 風流なさま。
「─なる御心には、をかしくおぼしなさる/源氏(総角)」
- (女性の髪などが)美しく艶(つや)のあるさま。
- ─改ま・る
- 喪が明けて喪服を平常の衣服に着替える。
「宮の御はても過ぎぬれば、世の中 ─・りて/源氏(乙女)」 - ─に出(い)・ず
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- 思いが表面に表れる。様子に出る。
「忍ぶれど─・でにけり我が恋はものや思ふと人の問ふまで/拾遺(恋一)」 - 色づく。色に表れる。
「鼻の─・でて、いと寒しと見えつる御おもかげ/源氏(末摘花)」
- 思いが表面に表れる。様子に出る。
- ─の白いは七難隠す
- 色白の女性は多少顔立ちが悪くとも美しく見える。
- ─は思案の外(ほか)
- 「恋は思案の外」に同じ。
- ─も香(か)もあ・る
- 外見・内面がともに備わっている。名実兼ね備わる。花も実もある。
- ─を失・う
- 恐れ・驚きなどのため、顔色が青ざめる。
- ─を変・える
- (怒り・喜びなどで)顔色を変える。
- ─を正・す
- まじめな顔つきになる。
- ─を作・る
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- 女性が男性の気を引く様子をする。しなを作る。
- 化粧する。美しく装う。
- ─を付・ける
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- 商いなどで、おまけをつけたり、値を引いたりする。
- 事に際して融通をきかす。
- ─を直(なお)・す
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- 元気を取りもどす。
「─・して方々より馳せ参りける間/太平記 15」 - (怒っていた)顔色をやわらげる。
「おさんも─・し/浄瑠璃・天の網島(中)」
- 元気を取りもどす。
- ─を作(な)・す
- 怒りのため顔色を変える。
- きょう きやう 1 【境】
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- 区切られた場所。
「無人の─を行く」
「斯(かか)る─にはふさはしい物語り/続風流懺法(虚子)」 - 心の状態。
「無我の─」 - 〔仏〕人間の感覚器官と心の認識能力の対象。眼・耳・鼻・舌・身・意の六根それぞれによって認識される色・声(しよう)・香・味・触・法の六境。境界(きようがい)。
- 区切られた場所。