輪世色境(りんぜしっきょう)

輪世色境りんぜしっきょう
世はめぐりて色を以てさかいとす。


せかい 1 【世界】
  1. 地球上のすべての国家・すべての地域。全人類社会。
    「─の平和」「─最高の山」
  2. 物体や生物など実在する一切のものを含んだ無限の空間。宇宙。哲学では社会的精神的事象をも含める。また、思考・認識する自我に対する客観的世界をさすことも多い。
    「可能─」「─の創造」
  3. 自分を中心とした生活の場。自分の知識・見聞の範囲。生活圏。世の中。
    「新しい─が開ける」「ピカソの─」「あなたと私とでは─が違いすぎる」「君は─が狭いよ」
  4. 同一の種類のものの集まり、またその社会。
    「動物の─」「勝負の─は厳しい」
  5. 歌舞伎・浄瑠璃で、その作品の背景となる特定の時代や人物類型。例えば「仮名手本忠臣蔵」の世界は「太平記」。
  6. くに。土地。地方。異境。
    「知らぬ─にめづらしき憂へのかぎり見つれど/源氏(明石)」
  7. 界隈。付近一帯。
    「いづら、といひて、もてこし人を─に求むれどなし/大和 168」
  8. 遊ぶ所。遊里など。
    「─は大みせ、女房にもならうといふ女郎、しやうといふ客/洒落本・傾城買四十八手」
  9. 〔仏〕〔梵 lokadhtu〕
    • 須弥山(しゆみせん)を中心に形成される一定の空間領域。全宇宙にはこの世界(一世界・小世界)と同じ規模の世界が数多くあるとして、三千大千世界などと表現する。
    • 衆生(しゆじよう)が住んでいる場所で、時間・空間的になんらかの制約を受け、まとまりをもっている広がり。
    • ある仏を中心とする空間。仏国土。
りんかく ─くわく 0 【輪郭/輪▼廓】
  1. 物の周囲をかたちづくっている線。
    「なだらかな山の─」
  2. 物事の概要。大筋。アウトライン。
    「事件の─」
  3. 顔立ち。容貌。
    「端正な─」
まわ・る まはる 0 【回る/▼廻る】
(動ラ五[四])
  1. 物体が、ある点や軸を中心にして、円形の軌跡を描くように動く。回転する。
    「風車(かざぐるま)がくるくる─・る」「扇風機が─・っている」
  2. 物の周囲に沿って円を描くように動く。縁を伝う。
    「地球は太陽のまわりを─・っている」「風が西から北へ─・る」
  3. 何か所かを順に移動して、出発点に戻る。また、順に従って移る。
    「ヨーロッパ五か国を─・る」「回覧板が─・る」「書類が経理課に─・る」
    「汝は洛中を─・り隠れもなき鰯売り/御伽草子・猿源氏」
  4. 遠回りの道をとって行く。
    「急がば─・れ」「橋へ─・れば人が知る/閑吟集」
  5. 直接行かないで別の所に寄る。
    「得意先を─・ってから会社に行く」「帰りに図書館に─・る」
  6. 別の位置・立場に移る。
    「裏方に─・る」「敵に─・る」
  7. 番・時期などが順に移る。
    「掃除当番が─・ってくる」
  8. ある範囲に行き渡る。広がる。
    「毒が─・る」「手が─・る」
  9. 十分にはたらく。
    「舌が─・らない」「知恵が─・る」
  10. (時計の針が通り過ぎることから)その時刻を過ぎる。
    「五時を─・る」
  11. 資金が利息を生む。
    「五分(ぶ)で─・る」
  12. やり繰りができる。
    「─・らぬ暮し常なれど/人情本・梅児誉美 4」
  13. 遊里で、遊女などが客の気に入るように努める。
    「さのみ物もつかはぬ男に─・りておもしろがるに/浮世草子・置土産 5」
  14. 動詞の連用形の下に付いて、そのあたりを…しながら移動する、…をして歩くなどの意を表す。
    「うわさを触れ─・る」「探し─・る」
〔「回す」に対する自動詞〕
[可能] まわれる
[慣用] 気が─・手が─・手が後ろに─・目が─・焼きが─/首が回らない・付けが回って来る
回り回って
次々に回っていって。
回れ右(みぎ)
体を右に回して、後ろ向きに向きを変えること。号令などにも用いる。
「─する」
みる 【▼廻る】
(動マ上一)
めぐる。巡回する。
「打ち〈みる〉島の埼埼、かき〈みる〉磯の埼落ちず/古事記(上)」
めぐ・る 0 【巡る/▽回る/▼廻る】
(動ラ五[四])
  1. 物の周囲をたどって進む。
    「池を─・る」
  2. 一定の経路に従って進んでもとに戻る。
    「血液が体内を─・る」「季節が─・る」
  3. あちらこちらと移り動く。
    「秘湯を─・る旅」
    「をみなへし咲きたる野辺を行き─・り/万葉 3944」
  4. 物のまわりを取り囲む。
    「池を─・る小道」「本堂を─・る廊下」
  5. ある事を中心としてつながり合う。
    「入札を─・る疑惑」「賛否を─・って議論が白熱する」
  6. 回転する。
    「思ふやうに─・りて、水を汲み入るる事/徒然 51」
  7. 輪廻(りんね)する。
    「六道四生に─・る事もまた、財を貪るに依りて有る事也/今昔 4」
  8. 生き長らえる。
    「我かくて憂き世の中に─・るとも/源氏(手習)」
  9. 時がたつ。
    「雲の上に千代を─・らむ初めとて/増鏡(さしぐし)」
〔「巡らす」に対する自動詞〕
巡り巡って
あちらこちらを巡った末に。回り回って。巡りに巡って。
「─私のところにきた」
回る因果(いんが)
因が果となり、果がまた因となって、はてしなく繰り返すこと。
もとお・る もとほる 【▽回る/▼廻る】
(動ラ四)
  1. 同じ場所をぐるぐるまわる。徘徊(はいかい)する。もとおろう。たもとおる。
    「細螺(しただみ)の、い這ひ─・り、撃ちてし止まむ/古事記(中)」
  2. 物事が思うように運ぶ。自由になる。
    「口が─・らずとも、間をおいて聞かせられい/狂言・魚説経」
いろ 【色】
2 (名)
  1. 光による視神経の刺激が脳の視覚中枢に伝えられて生ずる感覚。色相(色あい)・明度(明るさ)・彩度(あざやかさ)の三属性によって表される。また、特に白や黒を除いていう場合もある。色彩。
    「海の─」「明るい─」「いい─に上がる」
  2. 物の表面に表れている、そのものの状態。
    • 顔色。また、表情。
      「─に出る」「─をなす」「─を変えて怒る」
    • 様子。情趣。
      「─を添える」「秋の─が深まる」
    • (声などの)調子・響き。
      「声(こわ)─」「音(ね)─」
    • きざし。
      「あせりの─が見える」「敗戦の─が濃い」
    • 心のやさしさ。情愛。
      「心の─なく、情おくれ/徒然 141」
    • 容姿。姿。
      「傍への─異なる人を御覧じても/太平記 18」
  3. 男女の情愛に関する物事。
    • 男女間の情事・恋愛。
      「英雄─を好む」「─の道に通ずる」「─を売る」
    • 情人。恋人。
    • 遊女。
    • 遊里。
  4. 特定の色彩に関するもの。
    • 禁色(きんじき)。
      「女の─許されたるありけり/伊勢 65」
    • 白色の喪服。
      「葬礼に─を着て供して見せ/浄瑠璃・博多小女郎(中)」
  5. 種類。
    「─とりどり」
    「目に見ゆる鳥けだ物、─をもきらはず殺し食へば/宇津保(俊蔭)」
(形動ナリ)
  1. (女性の髪などが)美しく艶(つや)のあるさま。
    「御髪─にて/源氏(竹河)」
  2. 好色なさま。
    「いと─なる御心ぐせにて/大鏡(師輔)」
  3. 風流なさま。
    「─なる御心には、をかしくおぼしなさる/源氏(総角)」
─改ま・る
喪が明けて喪服を平常の衣服に着替える。
「宮の御はても過ぎぬれば、世の中 ─・りて/源氏(乙女)」
─に出(い)・ず
  1. 思いが表面に表れる。様子に出る。
    「忍ぶれど─・でにけり我が恋はものや思ふと人の問ふまで/拾遺(恋一)」
  2. 色づく。色に表れる。
    「鼻の─・でて、いと寒しと見えつる御おもかげ/源氏(末摘花)」
─の白いは七難隠す
色白の女性は多少顔立ちが悪くとも美しく見える。
─は思案の外(ほか)
「恋は思案の外」に同じ。
─も香(か)もあ・る
外見・内面がともに備わっている。名実兼ね備わる。花も実もある。
─を失・う
恐れ・驚きなどのため、顔色が青ざめる。
─を変・える
(怒り・喜びなどで)顔色を変える。
─を正・す
まじめな顔つきになる。
─を作・る
  1. 女性が男性の気を引く様子をする。しなを作る。
  2. 化粧する。美しく装う。
─を付・ける
  1. 商いなどで、おまけをつけたり、値を引いたりする。
  2. 事に際して融通をきかす。
─を直(なお)・す
  1. 元気を取りもどす。
    「─・して方々より馳せ参りける間/太平記 15」
  2. (怒っていた)顔色をやわらげる。
    「おさんも─・し/浄瑠璃・天の網島(中)」
─を作(な)・す
怒りのため顔色を変える。
きょう きやう 1 【境】
  1. 区切られた場所。
    「無人の─を行く」
    「斯(かか)る─にはふさはしい物語り/続風流懺法(虚子)」
  2. 心の状態。
    「無我の─」
  3. 〔仏〕人間の感覚器官と心の認識能力の対象。眼・耳・鼻・舌・身・意の六根それぞれによって認識される色・声(しよう)・香・味・触・法の六境。境界(きようがい)。
___ spelt by vincent.