感動の方程式

うずたかく積み重ねる。
あと一歩。もうひと息。

到達の寸前にすべてを棄てる。

そして、再び積み重ねてゆく。
切々と、丹念に──。

この不毛なチェーンループこそが、
──感動の方程式。

人は救い難い愚かさに心震わせる。

賽の目河原で石を積み上げる餓鬼のように。
到達間際、鬼に台無しにされることを
何処かで知りつつも──それをやめない。

 哀れで愛おしい──。

「哀憐(あいれん)」と云う響きが、
「憐哀(れんあい)」に擦り替わる。


憐哀感情に傾ぐ魂を静かに堆積する。
我、憐哀至上主義の魂人なり──。

___ spelt by vincent.