あと一歩。もうひと息。
到達の寸前にすべてを棄てる。
そして、再び積み重ねてゆく。
切々と、丹念に──。
この不毛なチェーンループこそが、
──感動の方程式。
人は救い難い愚かさに心震わせる。
賽の目河原で石を積み上げる餓鬼のように。
到達間際、鬼に台無しにされることを
何処かで知りつつも──それをやめない。
哀れで愛おしい──。
「哀憐(あいれん)」と云う響きが、
「憐哀(れんあい)」に擦り替わる。
憐哀感情に傾ぐ魂を静かに堆積する。
我、憐哀至上主義の魂人なり──。