昨今のコミュニケーションの稀薄さ。
ケータイやメールやSNSやブログ等々。
基本的には文章でのやり取り。
視覚と読解力に依るコミュニケーション。
切々と駄文を垂れ流す。
雑文で気休めの共感を得る。
──安易な構築方法だ。
音声が廃れた。聴覚が衰えた。
そんな風に感じる。
過去に綴ったメモの切れっ端。元来、物を余り棄てないタチなので、つぶさに遺っていたりする。
裁判所からのお達しや中には非合法と思しき文面等、軒並み犇めいていたりする。
歯の浮くような甘ったるいものもあるが、その頃の感情と現実とのギャップに笑いが乾く。
恋人から貰った手紙。
恩師から貰った手紙。
母親から貰った手紙。
どれも、正直、虚しい。
なけなしでも血肉が通っておれば、この感情繊維は払拭できるのだろうか。
紙の強さ──。
元々、云った云わないの水掛け論を封じるために浸透した経緯があるようにも感じる。
契約書。
公的に、第三者的に… 人は自身の制御の及ばぬ大上段に押し上げることでしか「重み」を感じられない生き物なのだろうか。
とても愚かだ──。
愚かだが、僕は人間が好きだ。
陳腐だと括りつつも、それに動じる自身に嘘はつけない。
「想い」と云う無形のものを「紙」と云う無機物にしたため、言い聞かせるように織り重ねる。
その想いは決して消えてなくなってしまうものではなく、いつまでも、いつまでも魂に刻まれてゆく。
火を放てば立ち所に灰燼に帰する。それでもその炭素から湧き出る魂の雫はそれを感じる者の魂を激しく揺さぶる。
僕は、そんな風に思う。
手紙を書こう。
先日、母親から手紙が届いた。達筆過ぎて、なかなかに読解には時間を要したのだが…
何かが伝わって来るような気がした。
掌に収まる小さな液晶や机の上にでんと置かれたモニタ。
その画面の中で居並ぶ文字の羅列群──。
格段に違う。何かが滲みた。
手紙を書こう。
邪魔になったら燃してくれ。
言葉に意味はない。
言霊が昇華して美しく舞うだけだ。
凍り付くような静寂の中で、
君の瞳を独り占めしたい──。
真実の世界で僕は浮遊する。
有り得ない妄想を描いて独り嗤う。
脳細胞が活動を停止するまで。
二次元と三次元の狭間で──。
我が魂の命ずるままに──。