感情の濃度

朧げながらも濃淡がある。

静かに眼を閉じる。

真っ白いキャンバスに、
木炭を滑らせている手が見える。

陰翳だけで対象物を象る。

そこに“色”はない。
それでも対象物が浮き彫りにされる。


経年劣化する感情繊維。


やがて、記憶繊維がほつれ、
何事もなかったかのように薄らいでゆく。

“雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ”…

そんな幻想のフレーズが脳裏を掠める。

___ spelt by vincent.