器は持たない。
何か容れたくなるから。
満たされても満たされなくても──。
器は要らない。
在るが侭に、流麗に──。
*2008/07/06 臨海隔離施設にて
器は持たない。
何か容れたくなるから。
満たされても満たされなくても──。
器は要らない。
在るが侭に、流麗に──。
*2008/07/06 臨海隔離施設にて
半分で良い。
全部晒せば切り札がなくなる。
切り札がなくなれば後がなくなる。
故に、半分で良い。
*2008/07/20 臨海隔離施設にて
君と僕とは一線を越えられない関係なんだ。
何故なら…
視界いっぱいに拡がったくすんだ灰色の空から止め処なく降り注ぐ6月の雨雫。
アッシュブリーチされた雲がゆったりと左から右へと千切れて流れてゆく。
「罠を仕掛けたね?」
「え?」
夕食を終えた彼が箸を置きながら訊いた。彼女は穴の開いたような顔で彼を見つめる。
年齢とは道義的セグメントであって、時間軸ベクトルに支配されるものではない。
想うに、詩篇の類いと云うものは朗読して聞かせるべきでない。音声の調子などを論ずるまでもなく、何も染み渡らないからだ。