2005年3月 アーカイブ[14]

指先が覚えている

ぼんやりと 煙草を燻らす
左手の中指に嵌められたリングが
鈍い光沢を放つ


 指先が覚えている


愛しい人の 首筋を滑り
うなじを掻き分け
黒髪の狭間から覗く
白い柔肌に浮かぶ 耳を撫でる

唇を寄せ 愛しい人にしか発さない
ふたりだけの暗号を 囁く
魔法を掛けるように

くねる艶めかしい肢体を
両のかいなで抱き寄せる

きつく それでいて
壊してしまわないように

溶け合って
ひとつになってしまうように──

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確定要素「絶対」

世の中に「絶対」は「死」しか存在しない。

その他のことは、非道く曖昧模糊な蹌踉めきのイリュージョン。
「諸行無常」が其処彼処に点在している。

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Spiral Rendez-vous

時の刻みは 皆に等しく 降り注ぐ
シビアに 冷徹に 弛まず 一定のビートで

時の歯車は 誰にも御せない
ただ 密度 だけは 自由

時の濃淡を 愛しい人と 一緒に 描く
デッサンが狂っていても 構わない

甘く切ない時が 緩やかに流れる

唇と唇を 重ね合わせるだけで
彩りが ふたりだけの空間を支配する

俺の 愛しい人
俺だけの 愛しい人

「永遠」と云う言葉は 余りにも陳腐過ぎて

だから「ずっと 一緒」──


DNAが螺旋状に絡み合っているように

ふたりは ひとつ
ふたりで ひとつ

決して ほどけることなく
互いに 抱き合っている

Spiral Rendez-vous

脳髄から神経繊維に至るまで

Spiral Rendez-vous

絡み合って 溶け合って
スパイラルに ずっと 一緒──

俺の 愛しい人
俺だけの 愛しい人

___ spelt by vincent.

美しい者の傍らにて

大きなこと 小さなこと
そのどちらでもない

やりたいことをやる

理由は ひとつ

やりたいから

義務や焦燥は 何処吹く風ぞ
一番でも ビリッケツでもない

気高く 美しい


孤高とは
依ることでも 依らせることでもなく
気高く 美しく 存在するだけ

何を見せ 何を聞かせ
何を感じさせるか──

それは自分以外の人格が決める
本人の与り知らない部分で
勝手に ひとり歩きするもの

本人のやることは ひとつ

自身を制御する だけ


大きなこと 小さなこと
そのどちらでもない

やりたいことをやる

理由は ひとつ

やりたいから

義務や焦燥は 何処吹く風ぞ
一番でも ビリッケツでもない

気高く 美しい


ただ ひたすらに
真摯に 愚直に 真っ直ぐに
風の吹くまま 気の向くまま

自身の魂の命ずるまま

我が魂の命ずるまま──

___ 女神棟にて

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