確定要素「絶対」

世の中に「絶対」は「死」しか存在しない。

その他のことは、非道く曖昧模糊な蹌踉めきのイリュージョン。
「諸行無常」が其処彼処に点在している。

「普遍・不変・不偏」

変化することを良しとする対極に変化することを悪しとする「諸行無常」を覆す、究極の確定要素が存在する。

「絶対」

国語的な解釈の対義語は「相対」だが、本来「絶対」に対義語は存在しない。

「絶対」とは、

 他に並ぶものがないこと。
 何物にも比較されないこと。
 比較や対立を絶した存在であること。

「対」を「絶する」

故に、世の中に「絶対」は「死」しか存在しない。


「死」の対義語は「生」ではない。
「生」は「死」へのプロセス。
歩むべき道を拘束された回避不能な試練。

故に、足掻き、藻掻き、苦しみ、悩む。

それらはすべて「必然」。不平等な世の中において皆に等しく降り注ぐ。
違いは「濃度・密度・受け止め方・解決方法」。


安易な約束事で「絶対」は使ってはいけない。相手への配慮云々の前に「絶対」など存在しないのだから。


俺の感性的に「絶対」とは、

 眼球が 目映い光りを 感じなくなるまで
 鼓膜が 空気の振動を 伝えなくなるまで
 鼻孔が 優しい馨りを 感じなくなるまで
 舌先が 君の躰の味を 伝えなくなるまで
 指先が 君の温もりを 感じなくなるまで

 躰中に張り巡らされた
 毛細血管・末端神経の繊維に至るまで

 五臓六腑・身体髪膚
 頭の先から爪先に至るまで

 すべての活動が停止するまで──

「死」すら分かつことのできない。
ふたりだけのキーフレーズ。

「絶対」

──それは「孤高」の近似値に存在する。


男子たるもの常に冒険好きで在りたい。
可能性のない冒険を「無謀」と呼ぶが、
無謀こそ孤高のロマンティシズム。

___ spelt by vincent.