様々なことが どうでも良い
生きることに 飽いている
痛覚が 驚くほどに 麻痺したようだ
何も 痛みを感じない
心の血液が 止め処なく溢れ出していても
何も 痛みを感じない
もう それほど 長くはないだろう
締め括りに相応しい 何かを捜している
たった それだけのことなのかも知れない
凍える静寂が教えてくれるのは
ひんやりとした 剥き出しのリアルだけ
他には 何もない
過日の共有は ほんの束の間の
脆く 儚い 永遠の刹那
まばたきする間に 跡形もなく消えてゆく
セピアトーンに包まれた情景繊維が
赤ワインで浸したように 赤茶ける
脳繊維に刻まれた なけなしのきら星たちが
薄笑いを浮かべながら 退色してゆく
孤独に愛された者は
自ら眼を閉ざし あらゆる光を閉ざし
闇に 添い遂げようとする
濁黒の暴風雨の空 這い上がる龍のように
渾身の情熱を こそげ 剥ぎ取られながら
次第に 痩せ 衰え 満身創痍の中──
後は 夢見るように 朽ち果てるだけ
残された道は それ以外にない
せめて 意識が侭ならぬうちに
せめて 痛覚が覚束無いうちに
連れ去って欲しい
颯爽と 華麗に──
さぁ 透明な闇を 見に行こう
視覚は不要
五感の機能を度外視してでも
資格も不要
生ある者ならば 誰でも到達できる
さぁ 透明な闇を──