思考の句読点

健忘と云う自衛本能は、そのときの本当を悉く奪い去る。

好都合に仕上がっているのだ。

初めから何もない。

曖昧な輪郭は視界に優しく、感受性に鋭く突き刺さる。

緩やかな呼吸が紫煙を携え、指先に、手首に、這い廻るように絡み付く。

やがて、侵食に飽いた煙風来坊は、ゆらゆらと立ち昇り、定形フォルムを持たずして脳細胞繊維の奥襞に滲み込んでゆく。

 思考の句読点。

禁煙なんぞ糞喰らえ。

___ spelt by vincent.