「アニキ。昔の眼に戻ったね…」
4コ下の兄弟分よーちゃんが呟いた。
「きっちり見開かれてる。いい眼だ──」
俺は照れ笑いを浮かべながら、ビール・グラスに接吻した。黄金色の液体がしゅわしゅわと喉を潜り抜け、胃の腑でふわっとじんわり拡がった──。
サングラス越しでは見えなかったものが、今なら見えるような気がする。
だが、大事なものは眼には見えない。
なぜなら──?
それは「隠れている」から。
「大事なもの」は照れ屋さん。。☆
「そこにいるのは分かってるよー出ておいでー」
「ん? そっか。恥ずかしいのかな?」
「分かったよー。出てきたくなったら出ておいでーオイラここでずっと待ってるよー」
そんな会話を思い浮かべながら、黄金色の液体を胃の腑に流し込む。
コメント
2005年09月29日17:17 vincent.
大事なものは見えない。
だから、見なくて良い。
見えなくて構わない。
無理に見ようとするのではなく「見えた」と錯覚するのではなく、ただ「そこにある」と云うことを感じていれば、それだけで良い。
大事なものは一番奥深い処でひっそりと鎮座している。それを感じられるのは個々の魂。
我が魂の命ずるままに──。