「夢は見るものではなく叶えるものだ」などと云われるが、叶えた瞬間、叶った瞬間、夢は「夢」でなくなる。

それは、解けなかったクロスワードが解けたときのように、それは、頭を抱えていた難問が解決したときのように…

いとも容易く砕け散り、脆くも、儚くも──その存在は音も無く消失する。

あたかも、初めから何もなかったかのように。


「最初から何もないのさ、何にもね…」

吟遊詩人が哀し気な苦笑を浮かべながら嘯く。


無駄の中に美徳を見出す──


有意義だ、と錯覚している愚かな意識の儘なるうちは。痛覚の麻痺した痺れた脳細胞と共に。

せめて、最良だと感じられる「抗い」を。
そして、何より己が己で在る為に。

我が魂の命ずるままに──。


コメント

2005年11月03日15:44 vincent.

可能性のない挑戦を「無謀」と呼ぶが、
無謀こそが流離いの夢追い人のテーゼ。

何もないことを初めから知りつつ、
ありもしない幻想に想いを馳せ、
それでも尚且つ、進むより他ない──。

弱々しくも力強い
悲愴なまでの「浪漫」を感じるのは、
私だけだろうか──。

Only God knows...

枯れ果てて乾涸びてしまう、その瞬間まで。
己の頭の中で描いている、素晴らしい世界を見据え。

我が魂の命ずるままに──。

___ spelt by vincent.