流離い人の終止符

過去に綴った熱い欠片たちが、突然、光を失い、色褪せたように感じてしまうのは、自身が自身の愚かさに気付いたからだ。

だが、ひとつも嘘はない。
綴られた欠片たちは永遠に鮮明。
純真無垢で掛け値なしの魂の叫び。

言葉は大して意味を成さない。
だからこそ重ねるのかも知れない。

同じ言葉を繰り返し、繰り返し、確かめるように、一喜一憂しながら…

そして、言葉の無力さを思い知り、同時に、言葉の魔力をも思い知る。

リフレイン。
脆く儚げな綱渡り。


綴ることで精神の平定を保つ。
それは、半身を引き剥がされた自身を庇おうとする、自衛本能のひとつなのだろう。

愛の在処を問い掛けて、盗み出せないことを何処かで知りつつ、頼りない地図を拡げる。

空虚。そして何とも切ない。

だが、悲観的なつもりはない。
悲観視しているつもりもない。

絶望的に救われない。
それは救いが何処にもないからだ。


蒼白い炎と紅蓮の炎とが互いに絡み合い、螺旋を描きながら尾てい骨から脊髄を抉り、揺さぶり、躰中を軋ませながら突き抜ける。


vincent.

自らに終止符を打っていても、尚かつ新たな終止符が打たれる。

始まりがあるから終わりが訪れる。
終わりがあるから始まりが訪れる。

それは必然の無限ループ。


ピリオドのない闇を彷徨う。
我、悲愴なる流離い人なり──。

___ spelt by vincent.