餌食考

或る向きからすれば眉を潜める下手物。
或る向きからすれば垂涎の大好物。

美食家と悪食家の相互補完関係。

糧を貪ることに綺麗事は通用しない。
糧を摂らねば生きてゆけない。

天敵の居ない我々は、それぞれがそれぞれの「餌食」なのだ。

自身の意識と無関係な領域で「摂理」が営まれる。


精神世界の肉を裂き、骨を食む音だけが静寂の中で耳障りに響く。

名もなき花がひっそりと花を咲かせ、人知れず朽ち果てるように──。

*2009.07.08・草稿

___ spelt by vincent.