もう二度と逢えない──。
それは絶望感ではなくて、
心の奥にあるジュエリーボックスに
宝石をそっと仕舞う感覚なんだ。
こうすれば人目に晒されることもなく、
いつまでも輝きを失わずに済む。
世界にたったひとつしかない宝石。
何よりも美しい掛け替えのない輝き。
ただね。
その宝石を見ることはもうできないんだ。
鍵を掛けられてしまったからね。
僕の身体を引き裂いてごらんよ。
ジュエリーボックスが出てくるはずさ。
きっとね。
とても重くて、誰にも開けられないのさ。
あの子が鍵を持ち去ってしまったからね。
でもね。
あの子は意地悪してる訳じゃないんだ。
我慢が足らないからお仕置きしてるのさ。
お預け──かな?
また、ふたりっきりで眺めたいね。
綺麗な宝石を眺めながら、
あれやこれやとお喋りするんだ。
きっと楽しいよ。
うん。楽しいに違いないだろうね──。