二次元に溶ける君

君を見てると眉が八の字になる。
八方睨みの瞳は常にこちらを向いている。

ただ、視線の先に僕は居ない。
ただ、虚空を捉えているのだろう。

 二次元に溶ける君。

静寂の中で君の瞳を独占する。
君の願いは叶ったのかも知れない。

実体は三次元で浮遊しているが、
君は二次元の中で生き続ける。

時空を超えて切り取られたネックレス。
仄かに馨る君の残り香を視覚で嗅ぐ。

密やかに燃え盛る情熱と冷静の焔は、
五感の機能を度外視する。

 二次元に溶ける君。

何かを紡ぎ出しそうな唇からは、
心地好い欠片が読み取れる。

 嗚呼、君に逢いたい──。

特に何をする訳でもなく…
大した理由はひとつもなく…

 君に逢いたい──。


うだる暑さの中、
二次元に溶ける君を見詰めて、
想いを馳せる。

ほんの束の間でもいい。


なけなし、三次元空間を共有したい──。

___ spelt by vincent.