大海原

無限に広がるキャパシティの大海原に
その身を投じ給え。

うまく泳ぐ必要はない。
溺れ給え。

溺れるほうが苦しいが、
無限なのだから、辿り着く先はない。

やがて、力尽き、魂の器がただの器に還る。

抜け殻の器を抱いて、
深海へと呑み込まれてゆく。

苦境からの解脱。

差し込む光がゆらゆらと揺らめく。
だが、それを見ることはできない。

ひんやりとした温かいものに包まれながら、
深淵の深淵に沈みゆく。

固い岩盤をも通り抜け、
やがて、烈火のようなコアに到達する。

蒼白い炎と紅蓮の炎のランデヴー。
理論や感情は消し飛ぶ。

無限に広がるキャパシティの大海原に
その身を──。

___ spelt by vincent.