「1パック10個入りの卵ってあるじゃない?」
「ええ、あるけど?」
「それって、どう思う?」
「どうって?」
「や、幸せかなぁ、って」
「幸せ?」
「うん」
「幸せかどうかは分からないけれど、卵は結構使うから便利ね」
「そっか」
「てゆーか、出し抜けに何を言い出すのよ。どうかしたの?」
「別にどうもしないよ。いつも通りさ」
「そう、ならいいんだけど…」
「じゃ、4個入りとか… 1個しか入ってないのもあるじゃない?」
「ああ、あるわね。1個のはお高いわ」
「それって幸せ?」
「微妙ね… 1個のはお高いし、品質も良いのでしょうけれど…」
「卵を基準に考えるから微妙なんだろうね」
「?」
「1個しか入らないパックには1個あれば十分じゃないか」
「それはそうだけど…」
「欲張って10個入りパックで構えているから満たされないんじゃないかなぁ」
「…」
「幸せの器って、人それぞれだね」