スリリングな絶対

絶対ってのはな、確かにあるんだ。これっぱかしもねえって訳じゃねえ。

ただ、常にそれがそうだっていう保証はねえのさ。ついでに、保証って言葉にも保証はねえ、そう思いてえだけだ。絶対のクセに可笑しいって? まぁ、そう感じるのも無理はねえよな。

スコープがあるだろ? そう、ライフルなんかで照準合わせたりするときに使うアレ。ホンマモンはねえとしても、ゲームとかでやったことあるだろ。それと似たようなものさ。

照準がピタッと合う瞬間──それが「絶対」なのさ。な、ねえ訳じゃねえってのが分かるだろ?

同時に、難しいってのも滲みるよな? 射撃の名手でもなけりゃ絶対なんて絶対来ねえ。

だから、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる宜しくそうする奴と、穴掘るなり縄張るなり…アリジゴクやら蜘蛛みてえなもんだな…それぞれが手前のやり方で挑むって訳よ──その絶対とやらを取っ捕まえてえからな。

タイミングなんだよ、タイミング。鼓動が次の脈を打つタイミングより短い時間。ほんの僅かな瞬間刹那、ピタリと定まるときがあるんだ。

そのタイミングを逃したら絶対なんてすぐ居なくなっちまう。

な、千載一遇と絶対は仲がいいのさ。
分かるか。絶対てなスリリングだろ?

*2018.01.03・草稿

___ spelt by vincent.