vin.spell | the spiritual ruler's monologue tag:spell.vincent.in,2016-02-19://2 2023-12-17T02:12:10Z ここは言の端の集積所 時に移ろい 時に動じる 水面に漂う 木の葉のように 路傍に荒ぶ 芥のように── Movable Type Pro 4.28-ja キモいな、お前 tag:spell.vincent.in,2023://2.2844 2023-12-17T01:09:29Z 2023-12-17T02:12:10Z 「だーかーらー! さっきから何べんも同じこと言ってんじゃん!?」 「何べん言われようが分かんねえもんは分かんねえんだよ!」 「どうして? こんなことバカでも分かるぜ!?」 「じゃあ、俺はそれ以下ってことか!?」 「ったく、どーしょもねえな、お前って奴ぁ…」 「ああ、どーしょもなくて悪かったな!」 「それほど難しいこと言ってるつもりもないぜ? ちったあ俺の話も聞けよ…」 「するってえと何か? お前さんの話聞きゃ何でもかんでもキレイに解決するんか?」 「やぁ、そうは言ってねえけどよ…」 「そりゃそうだろうよ。... vincent. 「だーかーらー! さっきから何べんも同じこと言ってんじゃん!?」
「何べん言われようが分かんねえもんは分かんねえんだよ!」
「どうして? こんなことバカでも分かるぜ!?」
「じゃあ、俺はそれ以下ってことか!?」
「ったく、どーしょもねえな、お前って奴ぁ…」
「ああ、どーしょもなくて悪かったな!」
「それほど難しいこと言ってるつもりもないぜ? ちったあ俺の話も聞けよ…」
「するってえと何か? お前さんの話聞きゃ何でもかんでもキレイに解決するんか?」
「やぁ、そうは言ってねえけどよ…」
「そりゃそうだろうよ。一体何様のつもりなんじゃ? 手前の話聞くだけで何でもかんでも丸く収まるんやったら天下泰平、万々歳。世界は愛と平和で満ち溢れているだろうよ。違うか?」
「違わねえよ…」
「せやろ? 俺様の時間をなんで手前の戯れ事で消費せにゃならんのや?」
「お前、トコトンひん曲がってやがんなぁ…」
「何や? ハム太郎か?」
「そりゃ、とっとこ」
「どーでもえーわい」

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ボタンの掛け違い tag:spell.vincent.in,2023://2.2842 2023-11-27T00:02:08Z 2023-11-27T23:19:24Z 「“自分を律する”って言葉があるだろ?」 「ありますねぇ、何だか堅っ苦しい…」 「なぁに、堅っ苦しく考えるから堅っ苦しくなるだけで実は何てことねえのさ」 「そういうもんですかねぇ…」 ... vincent. 「“自分を律する”って言葉があるだろ?」
「ありますねぇ、何だか堅っ苦しい…」
「なぁに、堅っ苦しく考えるから堅っ苦しくなるだけで実は何てことねえのさ」
「そういうもんですかねぇ…」

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ヒエラルキーの失墜 tag:spell.vincent.in,2023://2.2839 2023-05-28T03:30:15Z 2023-05-28T05:37:55Z 酒場ってのはな、大人の社交場なんじゃ。 いつでも手前が一番若輩者だって思って腰低うせなんでどーするよ? お? そんなじゃ先輩方、何もおせーてくれんくなってまうで? 先輩が歌ってるときぐらい背中向けてはしゃいでねーで、 嘘でも歓声上げてやいのやいのゆーとりゃえーんじゃ。 そんなも分からんのか? バカ騒ぎってのはそーゆーのが基本的にできてからやるもんじゃ。 ホンマのバカでどーするよ? せやろ? いいか、よう聞け、クソガキ共。 余り大人を舐めるな。 当たり障りなくその場その場の危険回避してきただろうから、実体験... vincent. 酒場ってのはな、大人の社交場なんじゃ。
いつでも手前が一番若輩者だって思って腰低うせなんでどーするよ? お?
そんなじゃ先輩方、何もおせーてくれんくなってまうで?

先輩が歌ってるときぐらい背中向けてはしゃいでねーで、
嘘でも歓声上げてやいのやいのゆーとりゃえーんじゃ。
そんなも分からんのか?

バカ騒ぎってのはそーゆーのが基本的にできてからやるもんじゃ。
ホンマのバカでどーするよ? せやろ?

いいか、よう聞け、クソガキ共。
余り大人を舐めるな。

当たり障りなくその場その場の危険回避してきただろうから、実体験で対応にまごついただけやんなぁ? 俺が聞く耳持つタイプやったから辛くもセーフだっただけや。
他所でおんなじことしてみい。総スカン食った上に全員から袋叩きに合うで?

もう一度言う。大人を余り舐めるな。
大人になったら俺みてえにガキから舐められるで?

俺もまだまだやゆーことが分かったぜ。ありがとうな。

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you are always right tag:spell.vincent.in,2023://2.2836 2023-05-25T04:05:01Z 2023-05-25T04:07:54Z 「安心しろ。お前はいつでも正しいよ」 「ただ、それが俺にとっては不都合なときがあるってだけさ」 ... vincent. 「安心しろ。お前はいつでも正しいよ」

「ただ、それが俺にとっては不都合なときがあるってだけさ」

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粗末 tag:spell.vincent.in,2022://2.2833 2022-01-21T14:06:11Z 2022-01-22T04:38:32Z 「あのなぁ。心だとか気持ちだとか想いだとか──  そんな見えねえモンを大事にする前によ、見えてるモンから大事にせえよ。  いい加減にしとかねえと終いにゃブン殴るぞ、手前」 「兄貴。云ってることがちょっと…」 「ちょっと、何だ?」 「可笑しいんじゃないかと…」 「何だよ。可笑しかったら笑えよ」 「や、そうじゃなくて…」 兄貴は弟分からフッと視線を落として背を向けた。 「粗末に扱うなってこった。命を粗末に扱うな」 「兄貴…」 「オラ、もう行くぞ。グズグズしてっと張っ倒すぞ」 「…て、だから兄貴ぃ。俺のこと見え... vincent. 「あのなぁ。心だとか気持ちだとか想いだとか──
 そんな見えねえモンを大事にする前によ、見えてるモンから大事にせえよ。
 いい加減にしとかねえと終いにゃブン殴るぞ、手前」
「兄貴。云ってることがちょっと…」
「ちょっと、何だ?」
「可笑しいんじゃないかと…」
「何だよ。可笑しかったら笑えよ」
「や、そうじゃなくて…」

兄貴は弟分からフッと視線を落として背を向けた。

「粗末に扱うなってこった。命を粗末に扱うな」
「兄貴…」
「オラ、もう行くぞ。グズグズしてっと張っ倒すぞ」
「…て、だから兄貴ぃ。俺のこと見えてねえんスか? ちょっと待ってくださいよぅ」

『手前なんざ見てねえさ』

兄貴の背中はそう語っているようだった。


弟分よ。
君の行く末、この先が
細く長く続くのか
太く短く終わるのか──

それは君の気持ち次第だ。
悟りよ。幸いあれ。

そんな感じで♪

*2018.05.10・草稿

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目から鱗 - 地獄の在処 tag:spell.vincent.in,2019://2.2822 2019-01-27T02:28:28Z 2019-11-21T16:12:43Z 「地獄に落ちろって云うじゃない?」 「うん」 「地獄って下にあるのかな?」 「んー、ま、地の底にあるイメージだよね」 「誰が決めたんだろ」 「そう云われればそうだけど…」 「僕はちょっと違うと思うんだよね」 「へぇ、どんな風に?」 ... vincent. 「地獄に落ちろって云うじゃない?」
「うん」

「地獄って下にあるのかな?」
「んー、ま、地の底にあるイメージだよね」

「誰が決めたんだろ」
「そう云われればそうだけど…」

「僕はちょっと違うと思うんだよね」
「へぇ、どんな風に?」

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スリリングな絶対 tag:spell.vincent.in,2018://2.2820 2018-12-02T14:11:09Z 2018-12-02T14:28:00Z 絶対ってのはな、確かにあるんだ。これっぱかしもねえって訳じゃねえ。 ただ、常にそれがそうだっていう保証はねえのさ。ついでに、保証って言葉にも保証はねえ、そう思いてえだけだ。絶対のクセに可笑しいって? まぁ、そう感じるのも無理はねえよな。 ... vincent. 絶対ってのはな、確かにあるんだ。これっぱかしもねえって訳じゃねえ。

ただ、常にそれがそうだっていう保証はねえのさ。ついでに、保証って言葉にも保証はねえ、そう思いてえだけだ。絶対のクセに可笑しいって? まぁ、そう感じるのも無理はねえよな。

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特別と差別 - 咀嚼版 tag:spell.vincent.in,2018://2.2812 2018-02-24T03:22:36Z 2018-02-24T03:45:20Z 例えば、そこに居る全員がステーキを食べているのに、ひとりだけメザシを食べていたらどうなるか? また、全員がメザシを食べている中、ひとりだけステーキを食べていたらどうなるか? 特別と差別に違いなんかねえんだよ。分かるか? 感情の問題なんだ。或いは、状況設定の作り方。 ステーキが苦手な奴だったら、特別感なんぞ味わえんだろ? 反対に、メザシが好物の奴だったら周りの状況なんかも関係ねえ。 感情が負の要素に傾くから差別。正の要素に傾けば特別。 そこに違いなんか殆どないんだよ。 感情てな人間の理性の問題だからな。絶対... vincent. 例えば、そこに居る全員がステーキを食べているのに、ひとりだけメザシを食べていたらどうなるか?
また、全員がメザシを食べている中、ひとりだけステーキを食べていたらどうなるか?

特別と差別に違いなんかねえんだよ。分かるか?
感情の問題なんだ。或いは、状況設定の作り方。

ステーキが苦手な奴だったら、特別感なんぞ味わえんだろ?
反対に、メザシが好物の奴だったら周りの状況なんかも関係ねえ。

感情が負の要素に傾くから差別。正の要素に傾けば特別。

そこに違いなんか殆どないんだよ。
感情てな人間の理性の問題だからな。絶対的な価値観としては成立しねえんだ。

ただ、願わくば、ステーキとメザシ、両方共食べたいよな?
バランス考えてよ。一事が万事。バランスだよな。

ま、そういうこった。

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俺様ルール tag:spell.vincent.in,2017://2.2807 2017-11-09T21:45:49Z 2017-11-09T21:51:47Z 「簡単な話さ。俺の云うことをみっつだけ利けばいい」 「みっつ」 「こんな簡単な話、ないだろ?」 「それは?」 「従え。平伏せ。奉れ」 「何様だし…」 Not at all. *2017.09.14・草稿 ... vincent. 「簡単な話さ。俺の云うことをみっつだけ利けばいい」
「みっつ」
「こんな簡単な話、ないだろ?」
「それは?」
「従え。平伏せ。奉れ」
「何様だし…」

Not at all.

*2017.09.14・草稿

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安心してくれ tag:spell.vincent.in,2017://2.2801 2017-08-28T23:35:38Z 2017-08-28T23:40:43Z もし、きみの想いが 届かなかったとしても 安心してくれ 世界は何も変わらない 何も変わらないんだよ ... vincent. もし、きみの想いが
届かなかったとしても

安心してくれ

世界は何も変わらない
何も変わらないんだよ

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Seek and destroy tag:spell.vincent.in,2017://2.2798 2017-06-25T08:08:57Z 2020-01-31T00:43:27Z 「『探さないでください』てな『探してくれ』のメタファーだろ?」 「そうだな」 「じゃ、『乞うご期待』てのは?」 「そんなの… そのまんまだろ」 「そのまんまとは?」 「や、『期待しててねー』とか何とか… 裏なんかねえよ」 「そりゃ、順接通りと云いたい訳だな?」 「まぁ、そーゆーことだな」 「だったら可笑しいじゃねえか」 「何が?」 「乞うてるのは発信者の側なんだぜ?」 「──!? どういうこと?」 ... vincent. 「『探さないでください』てな『探してくれ』のメタファーだろ?」
「そうだな」

「じゃ、『乞うご期待』てのは?」
「そんなの… そのまんまだろ」

「そのまんまとは?」
「や、『期待しててねー』とか何とか… 裏なんかねえよ」

「そりゃ、順接通りと云いたい訳だな?」
「まぁ、そーゆーことだな」

「だったら可笑しいじゃねえか」
「何が?」

「乞うてるのは発信者の側なんだぜ?」
「──!? どういうこと?」

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緩叙法による言葉遊び tag:spell.vincent.in,2017://2.2797 2017-06-25T02:51:46Z 2017-06-25T07:45:34Z 「心配しないで済む方法しか知らない」 「婉曲だが頼もしいな。それは?」 「安心すること」 「なる程。安心する方法は?」 「知っていれば心配しない」 *2017.06.24・草稿 ... vincent. 「心配しないで済む方法しか知らない」
「婉曲だが頼もしいな。それは?」
「安心すること」
「なる程。安心する方法は?」
「知っていれば心配しない」

*2017.06.24・草稿

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意気消沈 - いろはにほへと tag:spell.vincent.in,2017://2.2795 2017-06-10T06:56:03Z 2017-06-12T14:44:36Z 「なぁ、随分前に、花の美しさがどうのって云ってたよな?」 「おお。そんなこと云ってたな」 「事実を言葉で写生とか何とか…」 「よく覚えてるな。まぁ、名リリックだからな」 「で、不意に思い出したんだが、花は頭のてっぺんに生殖器を掲げているんだろ?」 「そうだな」 「花が枯れて、ごっそり落ちたら?」 「花が枯れて、ごっそり?」 「そう。ハラハラと、花びら1枚ずつとか散っていくならまだしも──ごっそりだぜ?」 顔を見合わせる二人。 「まぁ、今朝、庭でそんな光景を目撃したからお前の言葉を思い出したんだがな…」 「... vincent. lady_flower.jpg

「なぁ、随分前に、花の美しさがどうのって云ってたよな?」
「おお。そんなこと云ってたな」

「事実を言葉で写生とか何とか…」
「よく覚えてるな。まぁ、名リリックだからな」

「で、不意に思い出したんだが、花は頭のてっぺんに生殖器を掲げているんだろ?」
「そうだな」

「花が枯れて、ごっそり落ちたら?」
「花が枯れて、ごっそり?」

「そう。ハラハラと、花びら1枚ずつとか散っていくならまだしも──ごっそりだぜ?」

顔を見合わせる二人。

「まぁ、今朝、庭でそんな光景を目撃したからお前の言葉を思い出したんだがな…」
「余計なこと思い出してくれたもんだぜ…」


色は匂えど 散りぬるを
我が世 誰ぞ 常ならむ──

「しょっぱいのぅ〜」

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tone of voice tag:spell.vincent.in,2017://2.2790 2017-04-23T22:00:49Z 2017-05-18T06:03:56Z 「何を云うか、誰が云うか──」 「?」 「そんなことよりも、どんな声で云うか」 「──」 「それが問題なのさ」 そう云うと、男は笑みを浮かべた。 「なる程、そうかも知れないな」 出し抜けに真理めいたことを聞かされた男の口許も僅かに緩んでいた。 ... vincent. 「何を云うか、誰が云うか──」
「?」

「そんなことよりも、どんな声で云うか」
「──」

「それが問題なのさ」

そう云うと、男は笑みを浮かべた。

「なる程、そうかも知れないな」

出し抜けに真理めいたことを聞かされた男の口許も僅かに緩んでいた。

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episode: Goldfish tag:spell.vincent.in,2017://2.2784 2017-02-12T08:27:27Z 2017-06-10T15:01:23Z 「お前は金魚か?」 「あ?」 「金魚の中でも蘭鋳(らんちゅう)だな」 「どういうことだ?」 「醜い割りにゃあバカっ高え。そのくせ、煮ても焼いても喰えねえ」 「!?」 「つまり、どうしようもねえってこった」 *2016.10.16・草稿 ... vincent. lionhead_goldfish_retouched.jpg

「お前は金魚か?」
「あ?」

「金魚の中でも蘭鋳らんちゅうだな」
「どういうことだ?」

「醜い割りにゃあバカっ高え。そのくせ、煮ても焼いても喰えねえ」
「!?」

「つまり、どうしようもねえってこった」

*2016.10.16・草稿

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売買成立 tag:spell.vincent.in,2017://2.2783 2017-02-12T08:21:58Z 2017-02-15T22:21:41Z 「もう! あんたなんか要らない!」 溜まり兼ねた女が怒声を浴びせた。 「ほう。レシートか領収書はあるのか?」 悪びれる様子もなく、男が問う。 「どういうこと?」 「要らないなら返品すればいい」 「あんたを買った覚えはないわ!」 「それはどうかな?」 女の怪訝な表情。 ... vincent. 「もう! あんたなんか要らない!」

溜まり兼ねた女が怒声を浴びせた。

「ほう。レシートか領収書はあるのか?」

悪びれる様子もなく、男が問う。

「どういうこと?」
「要らないなら返品すればいい」

「あんたを買った覚えはないわ!」
「それはどうかな?」

女の怪訝な表情。

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嘘でも残るもの tag:spell.vincent.in,2017://2.2780 2017-01-13T17:20:33Z 2017-01-15T06:01:02Z 「余程の利口か余程の馬鹿と見た」 「大概どっちかだろ?」 「そうか?」 「そんなもんは予想とは呼ばねえよ」 「予想じゃねえよ」 「じゃあ、何なんだ?」 「教えてやろうと思ってな」 「何を?」 「お前はどっちかってことをだよ」 「ほう。じゃ、俺は利口なんだな」 「何故?」 「知れば馬鹿じゃいられない」 ... vincent. 「余程の利口か余程の馬鹿と見た」
「大概どっちかだろ?」
「そうか?」
「そんなもんは予想とは呼ばねえよ」
「予想じゃねえよ」
「じゃあ、何なんだ?」
「教えてやろうと思ってな」
「何を?」
「お前はどっちかってことをだよ」
「ほう。じゃ、俺は利口なんだな」
「何故?」
「知れば馬鹿じゃいられない」

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可笑しな日本語 tag:spell.vincent.in,2017://2.2778 2017-01-12T16:58:56Z 2017-02-15T22:53:00Z 「理屈抜きで間違ってるよ」 「や、正しいとか間違ってるってのは理屈があって揺れ動く訳で…」 「整合性抜きで間違ってるよ」 「や、それ抜いたら基準なくなってまうし…」 「間違っても間違ってるよ」 「そう。もうね。全然、正しくないじゃん! 間違ったら間違いやん? そこに仮定はないのよ、お分かりちゃん?」 「間違いなく間違ってるよ」 「だから、どっちなん?」 「どう考えても考えられないよ」 「ハナからいっこも考えてへんやんけ…」 「間違いか正しいかなんて考えられないよ」 「や、考えろよ」 「逆に、相手の立場にな... vincent. 「理屈抜きで間違ってるよ」
「や、正しいとか間違ってるってのは理屈があって揺れ動く訳で…」

「整合性抜きで間違ってるよ」
「や、それ抜いたら基準なくなってまうし…」

「間違っても間違ってるよ」
「そう。もうね。全然、正しくないじゃん! 間違ったら間違いやん? そこに仮定はないのよ、お分かりちゃん?」

「間違いなく間違ってるよ」
「だから、どっちなん?」

「どう考えても考えられないよ」
「ハナからいっこも考えてへんやんけ…」

「間違いか正しいかなんて考えられないよ」
「や、考えろよ」

「逆に、相手の立場になって考えてみてよ」
「どうあってもお前が正なんやな? どっちが自己中やねん… つか、ちょ待てよ──お前が俺に向かって何か云ってるってことは、俺の相手てなお前ってことだよな? で、相手の立場てなお前の立場ってことになるんだが、その逆ってことは、跳ね返って俺の立場のことを差す。な? 『逆に』てのがどんだけ可笑しな表現か分かったか? 『逆に』なんて、逆に云わんでえーねん、逆に」

「分かるか分からないかなんて分からないよ」
「分かっとるやん! 『分からない』云い切っとるやんけ」

「信じるとか信じられないとか信じられないよ」
「ハイハイ、信じられないのね…」

「あり得るとかあり得ないとかあり得ないよ」
「もうね。全体的に力一杯、理屈抜きで間違ってるよ、君は…」

*2016.08.29 草稿

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そういうんじゃねえんだよなぁ tag:spell.vincent.in,2016://2.2775 2016-12-10T12:14:08Z 2016-12-11T14:56:28Z 好きとか嫌いとか… 分かり易くそう云ってるだけで そういうんじゃねえんだよな 命を預かる、育むってのはさ 好き嫌いじゃねえだろ? 好き嫌いじゃやってらんねえよ 死ねるか死ねないかって問題だろ? 俺はそう思う 好きとか嫌いとか… そういうんじゃねえんだよなぁ 分かる? って、分かんねえだろうなぁ… そういうんじゃねえんだよなぁ… ... vincent. 好きとか嫌いとか…
分かり易くそう云ってるだけで
そういうんじゃねえんだよな

命を預かる、育むってのはさ
好き嫌いじゃねえだろ?
好き嫌いじゃやってらんねえよ

死ねるか死ねないかって問題だろ?
俺はそう思う

好きとか嫌いとか…
そういうんじゃねえんだよなぁ

分かる?
って、分かんねえだろうなぁ…

そういうんじゃねえんだよなぁ…

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信疑の真偽 tag:spell.vincent.in,2016://2.2773 2016-11-24T15:19:36Z 2016-11-24T15:30:22Z 「信じるの反対って何だと思う?」 「疑う?」 「違うわ。信じない、よ」 「──!? じゃあ、疑うの反対は?」 「疑わない、よ」 この定義の差異が決定的な差異を生む。 対義語では表現し得ない真偽がここにある。 ベースを揺るがすとは、こういうこと。 ... vincent. 「信じるの反対って何だと思う?」
「疑う?」
「違うわ。信じない、よ」
「──!? じゃあ、疑うの反対は?」
「疑わない、よ」


この定義の差異が決定的な差異を生む。
対義語では表現し得ない真偽がここにある。

ベースを揺るがすとは、こういうこと。

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寂しがり屋本舗 tag:spell.vincent.in,2016://2.2771 2016-10-17T00:54:11Z 2017-02-15T23:06:48Z 「寂しがり屋だけどな…」 「あ? どうした、常に突然だな…」 「お前はそんなのあると思うか?」 「ある? いる、の間違いじゃねえのか?」 「屋なんだから店だろ? あるかないかで合ってるよ」 「そういうことね。ハイハイ、で?」 「あると思うか?」 「思うも何も、なけりゃそんな言葉ハナから要らねえだろ?」 「遣わない言葉なんざ掃いて捨てるほどある」 「例えば?」 ... vincent. 「寂しがり屋だけどな…」
「あ? どうした、常に突然だな…」

「お前はそんなのあると思うか?」
「ある? いる、の間違いじゃねえのか?」

「屋なんだから店だろ? あるかないかで合ってるよ」
「そういうことね。ハイハイ、で?」

「あると思うか?」
「思うも何も、なけりゃそんな言葉ハナから要らねえだろ?」

「遣わない言葉なんざ掃いて捨てるほどある」
「例えば?」

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ひとつになりたくない tag:spell.vincent.in,2016://2.2762 2016-05-24T12:35:00Z 2016-06-28T11:37:06Z 世界中にあるすべてのものが誰かの夢から生まれたものだとしたら、世界は夢で満ち溢れているということになる。 だが、ここで「悪夢」の存在を忘れてはならない。 夢や希望などがすべて正の要素だと捉えるのは楽観的観測に過ぎず、些か怠慢、傲慢だと云える。何故なら、悪の抱く夢や希望は負の要素に満ち溢れているからだ。 ... vincent. 世界中にあるすべてのものが誰かの夢から生まれたものだとしたら、世界は夢で満ち溢れているということになる。

だが、ここで「悪夢」の存在を忘れてはならない。

夢や希望などがすべて正の要素だと捉えるのは楽観的観測に過ぎず、些か怠慢、傲慢だと云える。何故なら、悪の抱く夢や希望は負の要素に満ち溢れているからだ。

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毒蛇になりたい - 以毒制毒 tag:spell.vincent.in,2016://2.2761 2016-05-18T16:20:10Z 2017-05-26T13:37:19Z 俺ぁね。毒蛇になりてえのさ。 マムシの兄弟だとかコブラ・ツイストだとかそんなヤワなもんじゃなくてよ。 ガブリとやれば一撃必殺。狙った獲物は逃がさねえ、てな猛毒を孕んだ男でいてえってことさ。可笑しいかい? 俺が毒蛇だってハナから知ってたら相手のほうから勝手に退いてくれるだろ? 機嫌損ねてガブリとやられちゃあかなわねえからな、普通にビクつく。 ま、良く云やあ一目置かれる、悪く云やあ煙たがれる。いずれにしても、滅多やたらにゃあ攻撃されなくなるってことだ。 それに毒蛇てなぁどんな猛毒孕んでいようが手前の毒気に当て... vincent. 俺ぁね。毒蛇になりてえのさ。

マムシの兄弟だとかコブラ・ツイストだとかそんなヤワなもんじゃなくてよ。

ガブリとやれば一撃必殺。狙った獲物は逃がさねえ、てな猛毒を孕んだ男でいてえってことさ。可笑しいかい?

俺が毒蛇だってハナから知ってたら相手のほうから勝手に退いてくれるだろ? 機嫌損ねてガブリとやられちゃあかなわねえからな、普通にビクつく。

ま、良く云やあ一目置かれる、悪く云やあ煙たがれる。いずれにしても、滅多やたらにゃあ攻撃されなくなるってことだ。

それに毒蛇てなぁどんな猛毒孕んでいようが手前の毒気に当てられて死ぬこたあねえ、耐性があるからな。

それでも一撃必殺。狙った獲物は確実に仕留める。
どうだ。えらく頼もしいとは思わねえか?

]]> 続きを読む

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忘却のあなた tag:spell.vincent.in,2016://2.2760 2016-04-26T15:58:13Z 2016-09-29T00:54:47Z 「え〜っと、何だったっけ… ほら」 「どうしたんだい?」 「ここまで出掛かってるんだけど…」 「何か忘れてる?」 「そう。大事なことだったような…」 「大事なことだったら覚えてるはずだろ?」 「そうなんだけど… あ!」 「思い出した?」 「もう! あなたの顔見たら全部忘れちゃったじゃないの!」 一拍。 「任せな。全部、俺が忘れさせてやるよ」 満面の笑み。 「違うし…」 落胆の色と翳(かげ)りと脱力感。 忘却のあなた。喜びも悲しみも幾星霜(いくせいそう)。 何もかもすべて忘れて連れ去って──。 そんな感じで... vincent. 「え〜っと、何だったっけ… ほら」
「どうしたんだい?」

「ここまで出掛かってるんだけど…」
「何か忘れてる?」

「そう。大事なことだったような…」
「大事なことだったら覚えてるはずだろ?」

「そうなんだけど… あ!」
「思い出した?」

「もう! あなたの顔見たら全部忘れちゃったじゃないの!」

一拍。

「任せな。全部、俺が忘れさせてやるよ」

満面の笑み。

「違うし…」

落胆の色とかげりと脱力感。



忘却のあなた。喜びも悲しみも幾星霜いくせいそう
何もかもすべて忘れて連れ去って──。

そんな感じで♪

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優しさの条件 tag:spell.vincent.in,2016://2.2749 2016-01-10T14:38:26Z 2016-01-15T09:36:44Z 「優しさの条件ってな、みっつあるんだよ」 「みっつ?」 「そう。知りたい?」 「面白そうね。聞かせて」 ... vincent. 「優しさの条件ってな、みっつあるんだよ」
「みっつ?」

「そう。知りたい?」
「面白そうね。聞かせて」

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恋と愛の違い - 浅瀬でチャプチャプ tag:spell.vincent.in,2015://2.2748 2015-12-31T04:53:27Z 2019-10-27T15:57:32Z 「なぁ、恋と愛の違いって知ってるか?」 「何だよ、急に」 「やぁ、知らなかったら教えてやろうと思ってさ」 「まぁ、話は聞いてやるが、初めに念を押しておくぞ? 『恋は下心で愛は真心』って話はナシだぜ?」 「──!?」 「どうした?」 「いやぁ、その… 何だ……」 「え? 何だよ、図星かよ!?」 「まぁ、その… そんな感じの話をしようかなぁ、なんて…」 「どんだけ浅瀬でチャプチャプしとんねん… 呆れるわ」 NEXT!! 恋 って云うから 愛 に来た── ... vincent. 「なぁ、恋と愛の違いって知ってるか?」
「何だよ、急に」

「やぁ、知らなかったら教えてやろうと思ってさ」
「まぁ、話は聞いてやるが、初めに念を押しておくぞ? 『恋は下心で愛は真心』って話はナシだぜ?」

「──!?」
「どうした?」

「いやぁ、その… 何だ……」
「え? 何だよ、図星かよ!?」

「まぁ、その… そんな感じの話をしようかなぁ、なんて…」
「どんだけ浅瀬でチャプチャプしとんねん… 呆れるわ」



NEXT!!


恋 って云うから 愛 に来た──

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男たちの賛歌 - 星屑のステージ tag:spell.vincent.in,2015://2.2747 2015-12-22T10:34:29Z 2019-10-27T16:04:12Z 「お前って本当にクズだな」 「何だと!?」 「星の──」 ... vincent. 「お前って本当にクズだな」
「何だと!?」

「星の──」

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否定と肯定の差異 tag:spell.vincent.in,2015://2.2733 2015-04-21T14:50:56Z 2015-11-30T00:15:44Z 「金で買えないものはない──」 冷淡な面持ちで成金がそう嘯くと、対面している男がふっと瞼を伏した。 「ちょっと違うな」 訝しげに眉をひそめる。 「一体、何が違う?」 「分からないのか?」 男の口許には笑みがこぼれている。 「金で買えるものはすべて金で買える──だ」 成金はただただ呆気にとられて瞠目(どうもく)した。 ... vincent. 「金で買えないものはない──」

冷淡な面持ちで成金がそう嘯くと、対面している男がふっと瞼を伏した。

「ちょっと違うな」

訝しげに眉をひそめる。

「一体、何が違う?」
「分からないのか?」

男の口許には笑みがこぼれている。

「金で買えるものはすべて金で買える──だ」

成金はただただ呆気にとられて瞠目どうもくした。

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幸せの器 tag:spell.vincent.in,2015://2.2707 2015-02-15T23:54:46Z 2015-02-16T11:36:58Z 「1パック10個入りの卵ってあるじゃない?」 「ええ、あるけど?」 「それって、どう思う?」 「どうって?」 「や、幸せかなぁ、って」 「幸せ?」 「うん」 「幸せかどうかは分からないけれど、卵は結構使うから便利ね」 「そっか」 「てゆーか、出し抜けに何を言い出すのよ。どうかしたの?」 「別にどうもしないよ。いつも通りさ」 「そう、ならいいんだけど…」 「じゃ、4個入りとか… 1個しか入ってないのもあるじゃない?」 「ああ、あるわね。1個のはお高いわ」 「それって幸せ?」 「微妙ね… 1個のはお高いし、品... vincent.
「1パック10個入りの卵ってあるじゃない?」
「ええ、あるけど?」

「それって、どう思う?」
「どうって?」

「や、幸せかなぁ、って」
「幸せ?」

「うん」
「幸せかどうかは分からないけれど、卵は結構使うから便利ね」

「そっか」
「てゆーか、出し抜けに何を言い出すのよ。どうかしたの?」

「別にどうもしないよ。いつも通りさ」
「そう、ならいいんだけど…」

「じゃ、4個入りとか… 1個しか入ってないのもあるじゃない?」
「ああ、あるわね。1個のはお高いわ」

「それって幸せ?」
「微妙ね… 1個のはお高いし、品質も良いのでしょうけれど…」

「卵を基準に考えるから微妙なんだろうね」
「?」

「1個しか入らないパックには1個あれば十分じゃないか」
「それはそうだけど…」

「欲張って10個入りパックで構えているから満たされないんじゃないかなぁ」
「…」

「幸せの器って、人それぞれだね」

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終焉の正体 tag:spell.vincent.in,2014://2.2608 2014-03-21T12:11:30Z 2014-12-02T08:13:01Z 「“正解”って知ってる?」 「何についての?」 「や、純然たる正解だよ」 「何... vincent. 「“正解”って知ってる?」
「何についての?」

「や、純然たる正解だよ」
「何だ、そりゃ」

「正解てな、正しい答なんだろ?」
「ま、そうだな」

「てことは、それを目指さないと駄目だろ」
「駄目ってことはねえけど… ま、そのほうがいいよな」

「だったら、正解についてちゃんと知っておくべきじゃねえのか?」
「ま、そうだな」

「でな、俺はこんな風に思ってるんだ。正解ってのはな。そこに辿り着くと、実はすべてが終わってしまう、と」
「どうして?」

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他人の空似 tag:spell.vincent.in,2014://2.2609 2014-03-21T12:04:49Z 2019-10-28T00:56:57Z 「自分以外は皆他人」 「どうしたんだ? いきなり」 「お前はどう思う?」 「何... vincent. 「自分以外は皆他人」
「どうしたんだ? いきなり」

「お前はどう思う?」
「何が?」

「自分以外は皆他人」
「まぁ、物理的、道義的にはセパレートな訳だし、そうだと思うが何か引っ掛かるのか?」

「俺は嘘っぱちじゃねえのかと思うんだ」
「どうして?」

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自問自答の神経衰弱 - 或る角度からの側面 tag:spell.vincent.in,2014://2.2610 2014-01-13T08:04:17Z 2020-11-11T11:18:57Z 自分の胸に手ぇ当てて訊く必要はねえんだが、そうするとナンボか落ち着くぜ。 手間... vincent. 自分の胸に手ぇ当てて訊く必要はねえんだが、そうするとナンボか落ち着くぜ。
手間ぁ端折らず手続き踏むと、案外、実感沸いたりするもんさ。


誰かに責められてる訳でも咎められてる訳でもねえんだが、自分だけが知ってる“やましさ”とやらが、ちらほらと浮かんでくるのさ。

それらを一枚一枚拾っては並べてみるんだ。そして、しばらく眺めてから、また一枚一枚裏っ返してゆく。すると、思いの他、安心するのさ。不思議だろ?

自問てな、そうゆうこと。

でな。自答する必要もねえんだ。自分で裏っ返したんだ。表が何だったかは覚えてるだろ? 忘れちまってたら、また裏っ返せばいい。答えはそこにある。

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実際、厄介だぜ。 tag:spell.vincent.in,2014://2.2611 2014-01-13T08:00:28Z 2016-10-30T09:07:55Z 言い方なんてのは特にないが、語り方ってのは幾通りもある。 おざなりだろうが、ぞ... vincent. 言い方なんてのは特にないが、語り方ってのは幾通りもある。

おざなりだろうが、ぞんざいだろうが、聞き遂げた者に響かなければ、何も言ってないのと同じこと。

刺さるフレーズてな音楽とよく似てる。
ロックが聴きたいときと、バラードが聴きたいときじゃあ気分が違うだろ?
奏でるように語り掛けるのさ、そいつのご機嫌伺いながら。

媚びてる訳じゃないんだぜ?
優しさってのはこちらの優位性の押し売りなのさ。
響かなければ煙たがれるだけ。

まぁ、何でも工夫が必要ってこった。

実際、厄介だぜ。

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やり込める tag:spell.vincent.in,2013://2.2615 2013-08-31T02:30:42Z 2014-12-02T08:13:02Z 「生きるって何?」 「諦観をうまくやり込めることさ」 ... vincent. 「生きるって何?」
「諦観をうまくやり込めることさ」

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正直者は馬鹿を見る tag:spell.vincent.in,2013://2.2616 2013-08-03T11:44:24Z 2016-10-30T09:21:32Z 「『正直者は馬鹿を見る』って云うだろ?」 「ああ」 「お前はそれをどう思う?」... vincent. 「『正直者は馬鹿を見る』って云うだろ?」
「ああ」

「お前はそれをどう思う?」
「どうって云われてもなぁ…」

「正直に云ってみろよ」
「まぁ、相手を疑ったりしないから騙されやすいってことじゃねえのか?」

「そんなもんかねぇ…」
「俺もよく分からねえけどな、大体、そんなとこじゃねえのか?」

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薄紅色の夢雫 tag:spell.vincent.in,2013://2.2617 2013-06-01T17:44:48Z 2014-12-02T08:13:02Z 「やぁ、君はどう思うか、ちょっと聞いて欲しいんだ」 「あら、何の話?」 ふたり... vincent. 「やぁ、君はどう思うか、ちょっと聞いて欲しいんだ」
「あら、何の話?」

ふたりで夕食を摂っていると、彼は出し抜けにそう切り出した。

「ちょっと面白い話を聞いてね。そういうものなのかなぁ、って」
「面白い話? いいわ、聞かせて」

彼女は口許をナプキンで拭うと、彼を見つめた。

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現状維持 tag:spell.vincent.in,2013://2.2619 2013-05-03T11:44:51Z 2016-10-30T09:28:44Z 現状維持と思ったら負け。 一歩でも進もうとしている者には敵わない。 てな訓示を... vincent. 現状維持と思ったら負け。
一歩でも進もうとしている者には敵わない。


てな訓示を聞いた。で、どう思うかだって?
ほう、なかなかどうして…

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忘却 tag:spell.vincent.in,2012://2.2634 2012-02-23T17:16:31Z 2016-10-30T13:45:41Z 「覚えてる?」 「何を?」 「ああ、忘れちゃったのね…」 「何のことだ?」 ... vincent. 「覚えてる?」
「何を?」

「ああ、忘れちゃったのね…」
「何のことだ?」

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sweet burnt tag:spell.vincent.in,2011://2.2643 2011-10-02T03:20:56Z 2016-10-31T11:21:35Z 君がいい 君だけがいい 君だけでいい ... vincent. 君がいい
君だけがいい

君だけでいい

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手に負えないもの tag:spell.vincent.in,2011://2.2657 2011-03-18T14:23:42Z 2014-12-29T17:20:23Z 「愛するって、どう云うこと?」 「手に負えないものを受け入れることさ」 「ふ~... vincent. 「愛するって、どう云うこと?」
「手に負えないものを受け入れることさ」

「ふ~ん。よく分からないわね」
「ああ。だから、手を伸ばすんだよ、精一杯」

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生と死の関係 tag:spell.vincent.in,2011://2.2660 2011-02-22T12:50:43Z 2015-01-01T16:56:00Z 「生きる、って何?」 「死を意識しながら死を忘れることさ」 ___ spelt... vincent. 「生きる、って何?」

「死を意識しながら死を忘れることさ」

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準える tag:spell.vincent.in,2011://2.2664 2011-01-12T14:24:42Z 2016-11-01T00:27:04Z 「君にとって僕は何だい?」 「え? どうしたの。急に」 「や、喩えたら何なのかなって」 「ああ。そう云うこと。えっとねぇ…」 ... vincent. 「君にとって僕は何だい?」
「え? どうしたの。急に」

「や、喩えたら何なのかなって」
「ああ。そう云うこと。えっとねぇ…」

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シャレード tag:spell.vincent.in,2010://2.2697 2010-05-05T16:50:54Z 2016-11-01T22:22:04Z 「好きって、どう云うことだかよく分からないの…」 「そっか」 「どう云うことなんだろ?」 「僕は知ってるよ」 「じゃ、教えて」 ... vincent. 「好きって、どう云うことだかよく分からないの…」
「そっか」
「どう云うことなんだろ?」
「僕は知ってるよ」
「じゃ、教えて」

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優しさの条件 tag:spell.vincent.in,2009://2.1843 2009-12-03T00:40:53Z 2014-12-02T08:11:01Z 現実に齷齪すると余裕がなくなる。 余裕がなくなると優しさがなくなる。 「あなたは蜂蜜の匂いがするわ」 「くまのプーさんだからね」 テイスト・オブ・ハニー。 優しいとロマンティックだ。 ___ spe... vincent. 現実に齷齪すると余裕がなくなる。
余裕がなくなると優しさがなくなる。

「あなたは蜂蜜の匂いがするわ」
「くまのプーさんだからね」

テイスト・オブ・ハニー。

優しいとロマンティックだ。

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美しい弱音 tag:spell.vincent.in,2009://2.1888 2009-07-14T20:52:17Z 2016-11-04T10:16:04Z 「弱音を吐く男──」 カウンターに坐っていた男が出し抜けに呟いた。 ひとつ席を空けて坐っていた女は持っていたグラスを止め、怪訝そうに男を見つめる。 「──って、君はどう思う?」 機嫌を伺うような眼差... vincent. Gentleman Jack

「弱音を吐く男──」

カウンターに坐っていた男が出し抜けに呟いた。ひとつ席を空けて坐っていた女は持っていたグラスを止め、怪訝そうに男を見つめる。

「って、君はどう思う?」

機嫌を伺うような眼差しで女の顔を覗き込む。女は視線を逸らすと、呆れたように吐き捨てた。

「うんざりだわ」

男はグラスの中の氷をカランと鳴らした。

「これはこれは。手厳しい」

女に投げた視線をボトル棚に向けると、男はグラスをひと口ちびりと舐めた。氷をカラカラと二、三巡させたあと、静かにコースターの上に置いた。

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Laser Eyes tag:spell.vincent.in,2009://2.1920 2009-05-30T09:43:18Z 2016-11-06T09:30:15Z 「──黙ってればいい女」 「え?」 男は左隣りに坐った女に視線も向けず、出し抜けに切り出した。 コースターの上にロックグラスが置かれ、中の氷が微かに鳴く。 ... vincent. 「──黙ってればいい女」
「え?」

男は左隣りに坐った女に視線も向けず、出し抜けに切り出した。コースターの上にロックグラスが置かれ、中の氷が微かに鳴く。

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ジェラシーが凍るとき tag:spell.vincent.in,2009://2.1935 2009-05-06T09:14:54Z 2016-11-09T04:30:13Z 「今、何してるの?」 「ん? まぁま、雑事を──」 「これから出てこれない?」 「生憎、具合が芳しくない」 「そう──」 「悪いね」 「いえ、いいのよ」 … vincent. 「今、何してるの?」
「ん? まぁま、雑事を」
「これから出てこれない?」
「生憎、具合が芳しくない」
「そう」
「悪いね」
「いえ、いいのよ」

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You are my destiny tag:spell.vincent.in,2009://2.1945 2009-04-09T18:12:58Z 2016-11-09T12:11:14Z 「──You are my destiny.」 「え? 今、なんて?」 「英語だよ。訳して」 「えっと… あなたはわたしの運命です」 「賢いね。正解だよ」 「そんな簡単な英語… 中学生でも分かるわ] 「ふふ。それもそうだね」 … vincent. 「──You are my destiny.」
「え? 今、なんて?」
「英語だよ。訳して」
「えっと… あなたはわたしの運命です」
「賢いね。正解だよ」
「そんな簡単な英語… 中学生でも分かるわ]
「ふふ。それもそうだね」

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ウザイ奴をスマートに黙らせる方法 tag:spell.vincent.in,2009://2.1955 2009-03-20T08:48:11Z 2020-01-23T04:12:01Z 「お前にいい情報を教えてやろう」 「何だよ、いきなり… のっけからウザイ奴だな…」 「そう。まぁ、そう云ったときのための情報だ」 「胡散臭えな… 一体、なんだってんだ?」 「ウザイ奴を黙らせる方法さ」 「黙らせる? 何だよ、消しちまうのか… vincent. 「お前にいい情報を教えてやろう」
「何だよ、いきなり。のっけからウザイ奴だな…」

「そう。まぁ、そう云ったときのための情報だ」
「胡散臭えな… 一体、なんだってんだ?」

「ウザイ奴を黙らせる方法さ」
「黙らせる? 何だよ、消しちまうのか?」

「そんな物騒な方法じゃない」
「じゃあ、どんな?」

「もっとスマートな方法さ」
「ほう。聞くだけ聞いてやるよ」

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愛と平和は逆立ちがお好き tag:spell.vincent.in,2009://2.1960 2009-03-01T07:05:19Z 2016-11-10T11:10:38Z vincent. LOVE & PEACE

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Bb(ビー・フラット) tag:spell.vincent.in,2009://2.1962 2009-02-25T10:04:47Z 2016-11-10T11:57:19Z いいか。よく聴け。 人と話すときはフラットな姿勢で臨むんだ。 云ってること分かるか? フラットだ、フラット。… vincent. いいか。よく聴け。

人と話すときはフラットな姿勢で臨むんだ。
云ってること分かるか?

フラットだ、フラット。

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天国と地獄 tag:spell.vincent.in,2009://2.1967 2009-02-03T17:36:49Z 2014-12-02T08:11:19Z いろんな地獄を見て来たから、 いろんな天国も知ってるのさ──。 … vincent. いろんな地獄を見て来たから、
いろんな天国も知ってるのさ──。

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特別な人 tag:spell.vincent.in,2009://2.1975 2009-01-18T17:51:35Z 2016-11-10T16:13:45Z 好意的に接すれば、ある程度までは呼応する。 そこから突き抜けるには、某かの「刺激」が必要だ。 それは、セオリーから外れていればいるほど、 印象深く記銘されたりする。 「特別」とは、「博愛・友愛」などの対極値だ。 … vincent. 好意的に接すれば、ある程度までは呼応する。そこから突き抜けるには某かの「刺激」が必要だ。

それはセオリーから外れていればいるほど印象深く記銘されたりする。

「特別」とは、博愛・友愛などの対極値だ。

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いい加減 tag:spell.vincent.in,2009://2.1976 2009-01-18T17:37:39Z 2016-11-10T16:24:01Z 「なぁ、いい加減にしてくれないか?」 「え? どうしたの急に…」 「云わなきゃ分からない?」 「わたし、何かしたかしら…」 「困った子だ…」 「ごめんなさい… 教えて下さい…」 「ああ。教えてやる──いいか? よく聞けよ?」 「はい…」 … vincent. 「なぁ、いい加減にしてくれないか?」
「え? どうしたの急に…」

「云わなきゃ分からない?」
「わたし、何かしたかしら…」

「困った子だ…」
「ごめんなさい。教えて下さい…」

「ああ、いいか。よく聞けよ?」
「はい…」

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非言語的メッセージ tag:spell.vincent.in,2009://2.1977 2009-01-09T12:56:58Z 2016-11-10T16:27:28Z ちょっといいかな? ひとつ提案があるんだが… … vincent. ちょっといいかな?
ひとつ提案があるんだが…

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One of three rules tag:spell.vincent.in,2008://2.1981 2008-12-17T02:17:45Z 2020-01-23T01:00:18Z 「ルールを知っている奴がルールを破るのと、  ルールを知らない奴がルールを破るのとでは  ──全然、訳が違うんだぜ?」 そう云うと、男は不敵な笑みを浮かべた。 「一体、何のルールの話だ?」 眉間に皺を寄せた男が訝しげに問う。 … vincent. 「ルールを知っている奴がルールを破るのと、ルールを知らない奴がルールを破るのとでは──全然、訳が違うんだぜ?」

そう云うと、男は不敵な笑みを浮かべた。

「一体、何のルールの話だ?」

眉間に皺を寄せた男が訝しげに問う。

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哀笑 tag:spell.vincent.in,2008://2.1984 2008-12-13T04:00:04Z 2016-11-10T22:32:28Z 「あなたはよく笑うのね」 「そうかい?」 … vincent. 「あなたはよく笑うのね」
「そうかい?」

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旅人の独白 tag:spell.vincent.in,2008://2.1985 2008-12-13T03:49:28Z 2016-11-10T22:36:44Z 割と長く旅を続けているが、 生憎、君以上の上玉にはお目に掛かれない── やぁ、誰かと比べたりしてる訳じゃないんだぜ? … vincent. 割と長く旅を続けているが、生憎、君以上の上玉にはお目に掛かれない

やぁ、誰かと比べたりしてる訳じゃないんだぜ?

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蒼焔(そうえん) tag:spell.vincent.in,2008://2.1987 2008-12-03T11:13:47Z 2016-11-10T23:01:45Z 「いいか。よく聴け──」 男の低い声が響くと、肩を落とした男が虚ろな眼差しを向けた。 「あ? 何か云いてえことでもあんのか?」 不貞腐れた科白に眉を顰める。 … vincent. 「いいか。よく聴け──」

男の低い声が響くと、肩を落とした男が虚ろな眼差しを向けた。

「あ? 何か云いてえことでもあんのか?」

男は不貞腐れた科白に眉を顰める。

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暴力 tag:spell.vincent.in,2008://2.1991 2008-11-18T00:12:07Z 2016-11-10T23:21:47Z 何故、人間に暴力が備わっているか。 それは、 いよいよ話し合いでは埒が明かなくなったとき、 相手を黙らせるためだ。 … vincent. 何故、人間に暴力が備わっているか。

それは、いよいよ話し合いでは埒が明かなくなったとき、相手を黙らせるためだ。

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人生は穴埋め tag:spell.vincent.in,2008://2.1992 2008-11-18T00:05:19Z 2016-12-11T08:11:28Z 人生は穴埋め 何かせねば、決して埋まらない さて、何をして満たしたものか── … vincent. 人生は穴埋め
何かせねば、決して埋まらない

さて、何をして満たしたものか──

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永遠の刹那 tag:spell.vincent.in,2008://2.1993 2008-11-17T23:52:56Z 2019-01-11T00:16:59Z ごこうがさしてる? ん? 花札の話かな? いげんがある? ああ。インゲン豆の仲間か アレはカラダにいい えいえん? 何だい? 泣いてるのかな? 「せつな」だけだよ、あるのは… だから、いつでもせつないのさ── ___ spelt by v… vincent. ごこうがさしてる?
ん? 花札の話かな?

いげんがある?
ああ。インゲン豆の仲間か
アレはカラダにいい

えいえん?
何だい? 泣いてるのかな?


「せつな」だけだよ、あるのは…

だから、いつでもせつないのさ──

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趣味と特技 tag:spell.vincent.in,2008://2.1997 2008-10-17T16:43:00Z 2020-01-23T00:48:45Z やぁ、僕の趣味は治水工事なんだけどね? ほら、外堀は大体ほぼ埋めたじゃない? で、そろそろ内堀に着手したいんだけど… どうだろう? え? まぁ、近隣住民の反対は 押し切る方向で考えているよ ウザイのはみんな蚊帳の外さ … vincent. やぁ、僕の趣味は治水工事なんだけどね?

ほら、外堀は大体ほぼ埋めたじゃない?
で、そろそろ内堀に着手したいんだけど…

どうだろう?

え? まぁ、近隣住民の反対は押し切る方向で考えているよ。ウザイのはみんな蚊帳の外さ。

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FOXY LADY tag:spell.vincent.in,2008://2.2000 2008-10-17T16:17:04Z 2020-01-23T00:31:20Z 「どうしてメイクするんだい?」 疑惑と好奇が入り混じる男の視線が女を舐め回す。 「魅せるためよ──」 微笑を帯びた女の唇から、濡れた言葉がしっとりと洩れ出す。 「戦闘準備じゃないのかい?」 「誰と戦うの?」 「さぁね──」 … vincent. 「どうしてメイクするんだい?」

疑惑と好奇が入り混じる男の視線が女を舐め回す。

「魅せるためよ」

微笑を帯びた女の唇から濡れた言葉がしっとりと洩れ出す。

「戦闘準備じゃないのかい?」
「誰と戦うの?」
「さぁね」

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When You Wish upon a Star tag:spell.vincent.in,2008://2.2004 2008-09-29T04:19:10Z 2016-11-11T13:58:22Z 「ひとつだけお願いがある──」 「なぁに?」 「云ったら叶えてくれるかい?」 「聞かなきゃ分からないわ」 「それもそうだね」 「お願いってなぁに?」 「無理矢理、君に優しくしてもいいかい?」 「まぁ…」 ___ spelt by vinc… vincent. 「ひとつだけお願いがある──」
「なぁに?」

「云ったら叶えてくれるかい?」
「聞かなきゃ分からないわ」

「それもそうだね」
「お願いってなぁに?」

「無理矢理、君に優しくしてもいいかい?」
「まぁ…」

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通過儀礼 - ボーダレス・ゲート tag:spell.vincent.in,2008://2.2008 2008-09-24T23:41:49Z 2016-11-11T14:55:38Z 「ボーダレスと云うボーダーを潜り抜けるゲート──」 師が静かに宣う。 … vincent. 「ボーダレスと云うボーダーを潜り抜けるゲート」

師が静かに宣う。

「これは『通過儀礼』なのだ。誰もが通り過ぎる」
「誰もが?」
「少なくとも私の知り得る限りは」

それを聞いた少年は苦笑した。

「成人式と同等って訳だ?」
「そうだ」

少年はひと呼吸置いてから吐き捨てた。

「横断幕引き裂くくらいが関の山さ」

師は微笑を浮かべる。

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弾けるグルーヴ - unknown myself tag:spell.vincent.in,2008://2.2012 2008-09-12T06:20:14Z 2016-11-11T17:22:23Z 何故、僕が君の味方だと云うか教えてあげよう。 … vincent. 何故、僕が君の味方だと云うか教えてあげよう。

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No not found tag:spell.vincent.in,2008://2.2023 2008-08-22T15:19:36Z 2015-01-01T16:45:57Z 「見つかるといいね」 「何が?」 「とっときの何か──」 「ああ。そうだな」 「きっと見つかるさ」 「や、見つけるのさ──」 vincent. 「見つかるといいね」
「何が?」

「とっときの何か──」
「ああ。そうだな」

「きっと見つかるさ」
「や、見つけるのさ──」

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聡明な潔さ tag:spell.vincent.in,2008://2.2026 2008-07-28T09:07:05Z 2016-12-11T08:15:57Z 「激しい愛と穏やかな愛──どちらが欲しい?」 男は、慈愛に満ちた眼光で女に問う。 … vincent. 「激しい愛と穏やかな愛──どちらが欲しい?」

老師が慈愛に満ちた眼光で尼僧に問う。

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connection: Borderless tag:spell.vincent.in,2008://2.2036 2008-07-22T04:08:26Z 2016-12-11T08:29:44Z 君と僕とは一線を越えられない関係なんだ。 何故なら… … vincent. 君と僕とは一線を越えられない関係なんだ。

何故なら…

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SWEET TRAP tag:spell.vincent.in,2008://2.2039 2008-07-17T03:57:39Z 2019-11-04T04:42:16Z 「罠を仕掛けたね?」 「え?」 夕食を終えた彼が箸を置きながら訊いた。 彼女は穴の開いたような顔で彼を見つめる。 … vincent. 「罠を仕掛けたね?」
「え?」

夕食を終えた彼が箸を置きながら訊いた。彼女は穴の開いたような顔で彼を見つめる。

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any question tag:spell.vincent.in,2008://2.2074 2008-03-26T19:02:01Z 2016-11-16T22:52:40Z 君が望めば、すべてを与う。 君が拒めば、すべてを奪う。  any question…? 特になければ、次に進むが…? … vincent. 君が望めば、すべてを与う。
君が拒めば、すべてを奪う。

 any question…?

特になければ、次に進むが…?

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絶対服従の命令を呑ませる話術 - 形勢逆転の秘術 tag:spell.vincent.in,2008://2.2089 2008-02-29T16:11:11Z 2016-11-17T01:25:29Z 「余計なことは喋らなくていい」 「…と云うと?」 … vincent. A: 「余計なことは喋らなくていい」
B: 「…と云うと?」

A: 「必要なことだけ喋ってくれ」
B: 「うまい命令だな」

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大胆不敵 - 花の美しさ tag:spell.vincent.in,2007://2.2122 2007-12-10T02:38:40Z 2019-01-11T10:49:56Z 「花を美しく感じるのは何故だか知ってるかい?」 「どうしたんだ、藪から棒に… 何故なんだい?」 … vincent. 「花を美しく感じるのは何故だか知ってるかい?」
「どうしたんだ、藪から棒に… 何故なんだい?」

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他力本願の美学 tag:spell.vincent.in,2007://2.2129 2007-11-28T05:18:28Z 2016-11-18T03:38:27Z 「他力本願の何が悪い?」 出し抜けに、男が咎めた。 「や、それは…」 それを聞いた男が口籠もる。 … vincent. 「他力本願の何が悪い?」

出し抜けに、男が咎めた。

「や、それは…」

それを聞いた男が口籠もる。

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愛をください tag:spell.vincent.in,2007://2.2163 2007-08-29T04:01:41Z 2016-11-21T16:15:45Z 「あなたが欲しいものって何?」 「ん? 僕の欲しいもの?」 「ええ。──なぁに?」 「返答に困る質問だな……」 「簡単よ。わたしからプレゼントされて嬉しいものよ」 「君から? んー… はて……」 … vincent. 「あなたが欲しいものって何?」
「ん? 僕の欲しいもの?」
「ええ。なぁに?」
「返答に困る質問だな…」
「簡単よ。わたしからプレゼントされて嬉しいものよ」
「君から? はて…」

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永遠の憎しみ tag:spell.vincent.in,2007://2.2179 2007-08-16T14:25:09Z 2016-11-22T02:27:12Z 「憎むなら永遠に憎め──」 「──」 … vincent. 「憎むなら永遠に憎め」
「──」

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厳格な微温湯 tag:spell.vincent.in,2007://2.2180 2007-08-15T20:39:37Z 2016-11-22T03:04:00Z 「心を開いてくれれば、いい仕事するぜ?」 「──求めてばかりじゃ駄目さ」 「そうか?」 「ああ。まず、自分から晒さねば──  誰も開いてくれやしない──」… vincent. 「心を開いてくれれば、いい仕事するぜ?」
「──求めてばかりじゃ駄目さ」

「そうか?」
「ああ。まず、自分から晒さねば誰も開いてくれやしない」

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What do you wanna do? tag:spell.vincent.in,2007://2.2200 2007-07-25T14:24:40Z 2016-07-04T12:50:26Z 「浮かない顔してんな?」 「──そうかい?」 「ああ。この世の終わりみたいな顔してるよ」 「や、何も始まってないしな……」 … vincent. 「浮かない顔してんな?」
「──そうかい?」

「ああ。この世の終わりみたいな顔してるよ」
「や、何も始まってないしな……」

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君じゃないと駄目だ tag:spell.vincent.in,2007://2.2201 2007-07-23T23:28:26Z 2016-11-22T12:31:21Z 「君じゃないと駄目だ」  ──これは「強欲」。 「あなたと一緒に居たい」  ──これは「妥協」。 「──違いが解るかい?」 薄暗い照明がぼんやりと灯るカウンター席で、 紫煙を燻らしながら男が訊いた。 「ええ。簡単よ──」 細いメンソールを… vincent. 君じゃないと駄目だ──これは「強欲」。
あなたと一緒に居たい──これは「妥協」。

「違いが解るかい?」

薄暗い照明がぼんやりと灯るカウンター席で紫煙を燻らしながら男が訊いた。

「ええ。簡単よ」

細いメンソールを咥えた女が億劫そうに応える。

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危険人物 tag:spell.vincent.in,2007://2.2205 2007-07-23T10:44:55Z 2016-11-23T08:41:10Z 「──あなたは危ない人だわ」 ひとつ開けたカウンター席に坐っていた女が不意に口火を切る。 「君に俺の何が見えるんだ──?」 大振りのロックグラスの中の氷をカランと鳴らしてから、 女を見遣るともなしに男が訊く。 … vincent. 「──あなたは危ない人だわ」

ひとつ開けたカウンター席に坐っていた女が不意に口火を切る。

「君に俺の何が見えるんだ?」

大振りのロックグラスの中の氷をカランと鳴らしてから、女を見るともなしに男が訊く。

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奇跡の瞳 tag:spell.vincent.in,2007://2.2206 2007-07-23T03:31:02Z 2016-07-04T00:16:34Z 「君はその瞳に何を映しているんだい?」 「──」 「綺麗なもの? 汚いもの?」 「両方よ」 「そうか。汚いものは厭だね」 「見えてしまうものは仕方ないわ」 「何故、眼を瞑らない?」 「見えなくなるから──」 「何が?」 「あなたが──」 … vincent. 「君はその瞳に何を映しているんだい?」
「──」

「綺麗なもの? 汚いもの?」
「両方よ」

「そうか。汚いものは厭だね」
「見えてしまうものは仕方ないわ」

「何故、眼を瞑らない?」
「見えなくなるから」

「何が?」
「あなたが──」

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真っ直ぐ tag:spell.vincent.in,2007://2.2207 2007-07-22T20:26:53Z 2016-11-23T08:56:22Z 深い泉に溺れるならば それも致し方あるまい 心の動きは誰にも制御できない ただ 僕に関わるつもりが 少しでも在るならば 生半可なプライドやへったくれは すべて棄ててくれ 僕は真っ直ぐが好きなんだ 僕は真っ直ぐしか知らないんだよ 真っ直ぐ行… vincent. 深い泉に溺れるならば
それも致し方あるまい

心の動きは誰にも制御できない

ただ 僕に関わるつもりが
少しでもあるならば

生半可なプライドやへったくれは
全部 どこかに 棄ててきてくれ

僕は真っ直ぐが好きなんだ
僕は真っ直ぐしか知らないんだよ
真っ直ぐ行くしかないだろ?

僕はそうとしか考えられないんだ

悪いな
これ以上考えられないんだ

難しいことなんて──

すべて 見てきたさ
邪魔臭い能書きは抜きにしてくれよ


僕は真っ直ぐが好きなんだ

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自慢 tag:spell.vincent.in,2007://2.2214 2007-07-14T19:27:04Z 2014-12-02T08:12:11Z 「可愛い子連れてますね」 「そう?」 「ふたりは付き合ってるんですか?」 「や」 「じゃ、どうして一緒に?」 「僕の自慢だからさ──」 … vincent. 「可愛い子連れてますね」
「そう?」
「ふたりは付き合ってるんですか?」
「や」
「じゃ、どうして一緒に?」

「僕の自慢だからさ──」

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売れない俳優 tag:spell.vincent.in,2007://2.2230 2007-06-17T11:22:00Z 2016-11-24T03:34:31Z 「あなたは手に取るように“身の程知らず”ね」 フルート・グラスのステムを 紅く塗られた爪の先で弄びながら、 出し抜けに女が云う。 「ほう。割りと切れるんだな──」 ロック・グラスの中の氷をからからとやりながら、 男が微笑を浮かべる。 … vincent. 「あなたは手に取るように“身の程知らず”ね」

フルート・グラスのステムを紅く塗られた爪の先で弄びながら出し抜けに女が云う。

「ほう。割りと切れるんだな──」

ロック・グラスの中の氷をカラカラとやりながら男が微笑を浮かべる。

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狡猾 tag:spell.vincent.in,2007://2.2255 2007-05-05T00:53:00Z 2016-06-20T00:16:36Z 「小僧。余り大人をなめるなよ?」 「──何故?」 「大人になったらガキからなめられる」 「フッ──じゃ、オッサンは何なんだ?」 「ほんの洟垂れ小僧さ──」 「──面白え」 ... vincent. 「小僧。余り大人をなめるなよ?」
「何故?」

「大人になったときガキからなめられる」
「フッ──じゃ、オッサンは何なんだ?」

「ガキの頃、大人をなめてた大人さ」
「──面白え」

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嘘 - liar wanna believe tag:spell.vincent.in,2007://2.2265 2007-04-15T14:45:00Z 2016-11-25T05:23:22Z 「──ちょっといいか?」 「ああ、どうした?」 「『嘘』──なんだけどな?」 「ああ」 「お前は嘘ついたことあるか?」 「ないぜ」 ... vincent. 「ちょっといいか?」
「ああ、どうした?」

「『嘘』なんだけどな?」
「ああ」

「お前は嘘ついたことあるか?」
「ないぜ」

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戯曲「侭成らず」 tag:spell.vincent.in,2007://2.2286 2007-01-10T18:40:00Z 2016-11-26T16:51:33Z 「どうしてそんなに飲むの?」 「忘れられないことが多いからさ」 「自分の身体をいじめて楽しいの?」 「楽しかったら踊り出してるさ」 ... vincent. 「どうしてそんなに飲むの?」
「忘れられないことが多いからさ」

「自分の身体をいじめて楽しいの?」
「楽しかったら踊り出してるさ」

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戯曲「迷惑な話」 tag:spell.vincent.in,2007://2.2287 2007-01-10T17:35:00Z 2017-11-26T23:18:55Z 「なぁ、神様ってのは小学生か?」 「どうしたんだ? 藪から棒に──」 「好きな子をいじめるだろう?  ──何故、俺を的に掛けないんだ?」 「お前は殺しても死なん」 ... vincent. 「なぁ、神様ってのは小学生か?」
「どうしたんだ? 藪から棒に──」

「好きな子をいじめるだろう? 何故、俺を的に掛けねえんだ?」
「お前は殺しても死なん」

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永遠の刹那 tag:spell.vincent.in,2006://2.2292 2006-12-30T18:19:00Z 2016-11-27T11:25:20Z 「何故、あなたはわたしに優しくするの?」 「俺の行動に理由の必要が?」 「あなたのこと、もっと知りたいわ」 「知らないことのほうが多いさ──」 「ふふ。あなたはいつもそんな調子ね」 「──そうかい?」 「ええ。可笑しな人だから... vincent. 「何故、あなたはわたしに優しくするの?」
「俺の行動に理由の必要が?」

「あなたのこと、もっと知りたいわ」
「知らないことのほうが多いさ──」

「ふふ。あなたはいつもそんな調子ね」
「そうかい?」

「ええ。可笑しな人だから余計に困るわ」
「きみを困らせるのは本意じゃない」

「じゃ、聞かせて頂戴」
「困ったな」

「困っても許さないわよ?」
「おっかないね」

「逃げるからよ」
「ふふ。逃げる理由なんて要らないさ」

「じゃ、聞かせて頂戴」
「きみを愛しているからさ」

「──」

「宜しいかな?」
「宜しくってよ」

「疑問、すっきり?」
「ええ、すっかり」

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雇用者と被雇用者の特別会議 tag:spell.vincent.in,2006://2.2293 2006-12-25T19:16:00Z 2019-01-12T05:14:31Z 「どうした? 眠れないのか?」 「ああ。そんなとこだ」 「──何故?」 「理由を云えば解決するのか?」 「突っ掛かるなよ。。」 「煙草を喫ってるだけさ──」 「喉のことはお構いなしかよ。。?」 「煙が眼に滲みた言い訳がし易い... vincent. 「どうした? 眠れないのか?」
「ああ。そんなとこだ」

「何故?」
「理由を云えば解決するのか?」

「そう突っ掛かるなよ」
「煙草を喫ってるだけさ」

「何本目だ? 喉のことはお構いなしかよ」
「煙が眼に滲みた言い訳がし易い」

「眼を閉じれば滲みることもないぜ」
「眼を閉じると、浮かぶものは決まってるのさ」

「それは?」
「大事なものだよ──」

「ほう。だったら嬉しいことじゃないか」
「嬉しくなくても人は笑うのさ」

「安心しろ。伝わってるさ」
「どうだかな。俺のアテは当たることのほうが少ない」

「確率の問題じゃない」
「じゃ、何の問題なんだ?」

「魂さ」
「フッ。たまには良いこと云うんだな?」

「ああ。突然変異と天変地異の併せ技みたいなものさ」
「フフ。いいな、お前は」

「何故?」
「眠らなくても存在できる」

「ああ。『魂』だからな」
「違いない」


「余り俺を粗末に扱うなよ?」
「誰が? 俺がか?」

「ああ。磨り減ってしまうぜ」
「企業努力でカバーしろよ」

「それはお前次第だろう? 従業員はお前だけだぜ」
「フフ。酷な経営者だ。それじゃ誰も付いて来ないさ」

「それはお前も知ってるだろう?」
「ああ。だが、逃げられない」


「どうした? まだ、眠れないのか?」
「ああ。眠れない時には無理に眠ろうとはしない。脳天が痺れるまで引っ掻き回すだけさ」

「馬鹿な従業員を持つ経営者の苦悩も汲んで欲しいぜ...」
「フッ。ブラック企業の長が泣き言云うなよ」

「やれやれ。強情な奴だ... ま。好きにするさ」
「流石、話の分かる経営者。助かるよ」

「何かあったら呼んでくれ。何もなくても付き合ってやる、いつでもな」

「滲みるねぃ」

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sentimental protect tag:spell.vincent.in,2006://2.2295 2006-11-30T00:43:00Z 2016-11-27T13:17:58Z 「マスター。いつものをくれ──」 「いつもの──ですね?」 「ああ。強気と弱気のミックス──  『一喜一憂の美学』を──」 「キツ目に作りますか?」 「ああ。固くしてくれ──」 「どうかしたんですか?」 「や、どうかしてたらこんな所には来... vincent. 「マスター。いつものをくれ」
「いつもの、ですね?」
「ああ。強気と弱気のミックス──『一喜一憂の美学』を」
「キツ目に作りますか?」
「ああ。固くしてくれ」

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like a fire tag:spell.vincent.in,2006://2.2296 2006-11-30T00:03:00Z 2016-11-27T13:27:25Z 「時折、真剣な眼差しを投げるのは、お伺いを立てているのさ」 「黙ってちゃ分からないわ」 「お互いが知っている暗号は、ふたりだけのものさ」 「謎解きをしてるほど暇じゃないわ」 「割とせっかちなんだな?」 「ストレートが一番よ」 「生憎、俺は... vincent. 「時折、真剣な眼差しを投げるのはお伺いを立てているのさ」
「黙ってちゃ分からないわ」

「お互いが知っている暗号はふたりだけのものさ」
「謎解きをしてるほど暇じゃないわ」

「割りとせっかちなんだな?」
「ストレートが一番よ」

「生憎、俺は氷を浮かべる」
「何故?」

「熱い情熱は稀釈してやるほうがいい」
「──」

「でないと、お互いに身が持たない」
「──」

「それに灼けた喉で弱音は吐けない」
「弱音はうんざりだわ」

「誰彼構わずって訳じゃない。こんな話は余所ではしない」
「恐いもの知らずじゃなかったかしら?」

「臆病風に吹かれることもある」
「あらそう」

「だから、真剣な眼差しを投げるのさ」
「ふふ、そう。何故、口許が緩んでるの?」

「緊張を解きほぐすおまじないさ──」


口当たりは sweet
舌の上で転がせば mellow
喉越しは like a fire...

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mellow tag:spell.vincent.in,2006://2.2297 2006-11-29T11:43:00Z 2016-06-13T12:26:06Z 「分かるかい? 僕の気持ちが」 「なぁに?」 「壊れそうなんだけど、壊れる訳にはいかない。。  こんな矛盾。今まで抱えたこともない。。」 「何が云いたいの?」 「や、きみにはそんな感じ分かるかなぁ、と思って。。」 「あたしは。。  溢れそ... vincent. 「分かるかい? 僕の気持ちが」
「なぁに?」

「壊れそうなんだけど、壊れる訳にはいかない。こんな矛盾。今まで抱えたこともない」
「何が云いたいの?」

「や、きみにはそんな感じ分かるかなぁ、と思って」
「あたしは… 溢れそうなんだけど、こぼす訳にはいかないわ」

「そうか。同じだね」
「ん。同じだね──」

「つまり、僕はきみにメロメロってこと」
「あたしがあなたにメロメロなのよ?」

「負けず嫌いだね?」
「んもう。知らない」


mel・low
━━ a.
熟した; 芳醇な; 肥沃な; 円熟した; 豊かで美しい ((音色など)); 一杯きげんの; 陽気な.
━━ v.
熟させる[熟す]; 円熟させる[する]; 豊かに美しくする[なる]; 陽気[ほろ酔いかげん]にする.
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前世の記憶 tag:spell.vincent.in,2006://2.2300 2006-11-23T17:32:00Z 2016-11-27T13:41:58Z 「──哀しいわ」 「何故──?」 「分からないわ──。けれど、、  何故か、涙が溢れて止まらない──」 「それは哀しみじゃない」 「じゃあ一体──?」 「心が切れて血が溢れているのさ」 「──何故?」 「俺と出逢ってしまったからさ──」 ... vincent. 「──哀しいわ」
「何故?」
「分からないわ。けれど、何故か涙が溢れて止まらない」

「それは哀しみじゃない」
「じゃあ一体?」
「心が切れて血が溢れているのさ」

「何故?」
「俺と出逢ってしまったからさ」
「──」
「激しさを察知してしまったんだろう。心は嘘をつかない」


「何故、出逢ってしまったの?」
「取り戻しただけさ」
「何を?」

「前世の記憶を紡いで自分の持ち物を」
「──」

「自分の持ち物は大事にするべきだ。きみはどう思う?」

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迷子 tag:spell.vincent.in,2006://2.2302 2006-11-17T14:03:00Z 2016-06-13T13:23:50Z 「僕、方向音痴なのかなぁ。。?」 「え? どうして?」 「や、笑われると思うから云えないよ。。」 「なぁに? 教えてよー」 「ずっと迷子になってた。。」 「そうなの?」 「きみに出会うのにこんなに時間が掛かるなんて。。  ──許してくれる... vincent. 「僕、方向音痴なのかなぁ?」
「え? どうして?」

「や、笑われると思うから云えないよ」
「なぁに? 教えてよー」

「ずっと迷子になってた」
「そうなの?」

「きみに出会うのにこんなに時間が掛かるなんて… 許してくれる?」

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引き換え tag:spell.vincent.in,2006://2.2327 2006-08-26T01:19:04Z 2016-11-28T04:43:22Z 「何と引き換えにすれば──?」 「それを考え給え──」 ... vincent. 「何と引き換えにすれば?」
「それを考え給え」

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退屈な教養 tag:spell.vincent.in,2006://2.2328 2006-08-26T00:57:00Z 2016-11-28T04:56:14Z 教養のある人は、独りでもうまく時間を過ごす。 今、彼は時間を持て余している。 教養のある人にインタビュー。... vincent. 教養のある人は
独りでもうまく時間を過ごす。
今、彼は時間を持て余している。

思い切って教養のある人にインタビュー。

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心の旅路 tag:spell.vincent.in,2006://2.2329 2006-08-26T00:56:34Z 2014-12-02T08:12:24Z 「例えば旅に出るのさ」 「どこへ?」 ... vincent. 「例えば旅に出るのさ」
「どこへ?」

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シャイな情熱をアルコールで稀釈して tag:spell.vincent.in,2006://2.2331 2006-08-26T00:55:00Z 2016-06-10T13:49:00Z 「一杯飲むといいわ。グラス持たないと喋れないでしょ?」 「や、ずっと独りでお喋りしてるさ」 ... vincent. 「一杯飲むといいわ。グラス持たないと喋れないでしょ?」
「や、ずっと独りでお喋りしてるさ」

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順番 tag:spell.vincent.in,2006://2.2338 2006-08-10T18:03:00Z 2016-06-10T12:14:46Z 「順番ってそんなに大事なものかい?」 「いいえ。そんなこと──つまらないだけだわ」 「後付けでも構わんと?」 「ええ。わたしはね」 「何だかゾクゾクするね」 「ワクワク──じゃない?」 「ま。似たようなものさ。  例えば君は、どんなのがお... vincent. 「順番ってそんなに大事なものかい?」
「いいえ、そんなことつまらないだけだわ」

「後付けでも構わんと?」
「ええ、わたしはね」

「何だかゾクゾクするね」
「ワクワク──じゃない?」

「似たようなものさ。例えば君はどんなのがお望みかな?」
「今まで感じたことのないような──」

「感じやすい?」
「誰彼って訳じゃないわ」

「差別だな」
「区別よ」

「境界線には誰が?」
「わたしが番人よ」

「一線を越えることは?」
「順番待ちよ」

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概念の宇宙観 tag:spell.vincent.in,2006://2.2339 2006-08-10T18:02:00Z 2016-11-28T23:43:59Z 「見ているものが違うんだよ──」  ロックグラスの中の氷をカラカラとやりながら男が呟いた。  隣に坐っている男が訝しげな視線を投げる。 「──見ているものって?」  ロックグラスの男が鼻で笑う。 「訊けば見えるのかい?」  隣の男が閉口す... vincent. 「見ているものが違うんだよ──」

ロックグラスの中の氷をカラカラとやりながら男が呟いた。隣りに坐っている男が訝しげな視線を投げる。

「見ているものって?」

ロックグラスの男が鼻で笑う。

「訊けば見えるとでも?」

隣りの男が閉口する。ロックグラスをひと口舐めてから、ゆっくりと云った。

「見えているものが違う、が正しいかな?」

隣りの男は依然訝ったまま。そんな彼に視線も向けず、ロックグラスの男は愉快そうに肩を揺する。

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自己中心的 - 世界の中心 tag:spell.vincent.in,2006://2.2340 2006-08-10T18:01:00Z 2020-01-19T13:08:35Z 「世界の中心って何や?」  眉間に皺を寄せ、男が詰め寄る。 「お前の世界の中心は何やって訊いてるんや」  問われた男は何も応えない。 「俺の世界の中心は俺や。誰にも譲らん」  詰め寄られた男の視線が泳ぐ。 「世界の中心が他所にある奴のが危... vincent. 「ねぇ、世界の中心って何?」

目許の涼しげな男が無表情なまま問う。

「君の世界の中心は、って訊いてるんだけど」

問われた男は何も応えない。

「僕の世界の中心は僕。誰にも譲らないよ」

問われた男の視線が泳ぐ。

「世界の中心が他所にある人のほうが危なっかしい。所詮、他人は他人、中心になれる筈がない。それは肉親でも兄弟でも同じこと。自分以外はすべて他の人格だし、制御不能だからって愚図ったりする訳でしょ?」

畳み掛けられた男の額には脂汗が滲む。

「君の世界の中心って何?」

一念発起したように、

「じ、自分です…」

とモスキートボイスが洩れ出した。無表情な男の口許が僅かに緩むと、緊迫した空気も弛緩した。

「グラグラだね──」

天使のような微笑みを浴びせられた男は視線を落とすだけだった。

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God forgotten - 喉元過ぎれば熱さ忘れる tag:spell.vincent.in,2006://2.2371 2006-05-27T06:21:00Z 2016-12-01T01:11:35Z 「激しい人なのね──」 「──表層が点滅しているだけさ」 「どうして?」 「──落雷を受けたからさ」 「何故、そんなことを云うの──?」 「──独り言が大きいだけさ」 ... vincent. 「激しい人なのね」
「表層が点滅しているだけさ」

「どうして?」
「落雷を受けたからさ」

「何故、そんなことを云うの?」
「独り言が大きいだけさ」

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for example tag:spell.vincent.in,2006://2.2386 2006-04-11T12:35:00Z 2016-06-09T00:27:22Z 「例えば──」 そう云い掛けた男の唇に、細い人差し指が押し当てられた。 ... vincent. 「例えば──」

そう云い掛けた男の唇に、細い人差し指が押し当てられた。

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見開かれた眼 tag:spell.vincent.in,2006://2.2397 2006-03-19T15:41:00Z 2016-12-01T21:54:06Z 「きっちり見開かれてる。いい眼だ──」 透明な炭酸系飲料が入ったコリンズグラスを片手にした男が 満足げに云った。 そんな科白を耳にした男が、ボトル棚に並べられたボトルを ぼんやりと眺めながら彼を見るともなしに、 「終わりだな──それじ... vincent. 「きっちり見開かれてる。いい眼だ──」

透明な炭酸系飲料が入ったコリンズグラスを片手にした男が満足げに云った。

そんな科白を耳にした男が、ボトル棚に並べられたボトルをぼんやりと眺めながら彼を見るともなしに、「終わりだな。それじゃ何も見えない」と低く呟いた。

満足げだった男が訝しげに眉を顰める。

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脳内会議 tag:spell.vincent.in,2005://2.2494 2005-03-23T15:00:00Z 2019-11-11T15:18:49Z 「どうしたんだ? 冴えねぇツラして──」 「や。何となく、な──」 「何だよ。また『切ない』のか?」 「や。『虚しい』が近いかな──?」 「なぜ──?」 「や。俺は、一体、幾つの言葉を知ってるんだろう、って──」 「ほう──」... vincent. 「どうしたんだ? 冴えねぇツラして」
「や、何となくな」

「何だよ。また切ないのか?」
「や、虚しい、が近いかな?」

「なぜ?」
「や。俺は、一体、幾つの言葉を知ってるんだろう、って」
「ほう」
「や、何となくな」

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