脇腹を抉られた銀狼は非道く衰弱していた。
糧を得るためとは云え、余りにも酷使した。
糧を得る戦闘能力の低下──。
あからさまに衰弱が見て取れるが…
それでも、休息は赦されない。
闘い続けることこそが彼の定め。
闇の中で銀色の翼を研ぐ。
そして、丁寧に毛繕いを。
喉が裂けるほどの静かなる咆哮を──。
日常をすり抜けた装いをバッグに詰め、眠りかけた街並のアスファルトに靴音を響かせる。踏切で足止めを食い、しばらく耳障りな警笛を聞いたあと、思い出したように附近にある居酒屋の軒をくぐった。
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「女の行動に理由なんてないの。男は理由を求めるから恋を失うのよ」
「ほう」
声にならない 悲痛な叫びが
脳裏を 駆け巡る
様々な ベクトルが 交錯し
様々な 思惑が 飛び交う
精神と肉体の均衡が
激しく振動したとき
今まで 培ってきたものが
音を立てて 崩壊する
どこかで ブレーキを踏まねば
どこかで 軌道修正せねば
声にならない 悲痛な叫びが
脳裏を 駆け巡る
その絶叫が 五体を侵す前に
その絶叫が 五体を蝕む前に
どこかで ブレーキを踏まねば
どこかで 軌道修正せねば